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こうしてオレはアランの家の猫になった。
家っていうか、城? だったんだけど。王子みたいだと思ったアランは実は王さまだった。
まぁオレはただの白い子猫だし掃除するのもオレじゃないし、広い方が探検のしがいがあっていいよな、ってことでその辺はあまり気にしていない。
衣食住の礼に、オレなりにせいいっぱい主人の癒しに貢献する。ただそれだけだ。
アランとは仲良くやっている。と思う。オレ的にはだけど。
多忙なアランが城にいるときは、会議中だろうが食事中だろうが常にそばにいることを求められた。正直うっとうしいときもあるけど…なるべく我慢して付き合ってやってる。もちろん寝るのも一緒のベッドでだ。あんなにイケメンなのにまだ独身みたいだし、ひとり寝が寂しいのか? 可愛いやつ。
でもたまに、二人きりの時にアランがせつなそうな目でオレを見るとか、熱に浮かされたようにキスを浴びせてくるとかがあるんだ。なぜ人型にならないんだ? とか、君に私の名前をつけたい、とか。………意味がよくわかんないんだよね。だってオレ猫だし。難しいことは好きじゃない。
そんなこんなでスルーしていた、アランの口からたまに出る「私のツガイ」ってのの意味を知る日がそのうちくるんだけど………。
それはまた別のおはなし。
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