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地面に打ち捨てられコロリと転がったオレは、その態勢のまま、呆然と銀狼の巨体を見上げた。
あらためて見てもデカイ。そしてなにやら煌めいていて神々しい…。
黒狐のすがたが見えなくなると銀狼は遠吠えを終わらせた。気がすんだのだろうか。……てかオレこれからどうなんの? おまえはおれをどうするつもり?
見上げるオレと見下ろす銀狼。しばしの無言。
すると、ウォフ…と銀狼が何か言った。優しい声だった。オレに対する語りかけのようなのだが、やっぱりオレ的にはただのウォフで。
「ごめん、なに言ってるかわかんないや…」
寝転んだまま「ミ~」と鳴いて首をかしげて見せると、銀狼のふっさふさのしっぽがゆらりと揺れた。
ん? ふたたび首をかしげるオレ。見下ろす銀狼。間違いない。銀狼のでっかいしっぽがゆらゆらしている。
え。何事? …まさか。オレ気に入られてんの? ほんとに助けてもらえたの?
まだ半信半疑だったけど、だったらオレのすべきことは決まってる。
全力での感謝アピールだ。
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