運命の出会い

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狼より大きくて、でも鼻面はもっとシュッとしててイヌってよりはキツネっぽい。だけどもとんでもなく大きかった。いやオレいま猫だからそう感じるだけなんだろうか。てか、黒い狐っていたっけか? うなり声もなんかオドロオドロしいし……わわ。こっちに来るなよ!  猫らしくフーッと勇ましく威嚇して追い払えたらよかったんだけど、オレはただただ震え上がってその場に臥せっているしかできなくて。ヤツがそろりそろりと近づいてくるのをガタガタ震えながら見ていたんだ。…ビビりすぎて腰が抜けちゃったんだよ。足に力がはいらなくてさぁ、逃げたいのに逃げられないんだよぉおお! そうこうしてる間にヤツはもう目の前にいた。オレからはリーチが短くて届かないけど、ヤツはオレを片手(片前足?)でなぎ払えるような距離。射程圏内というやつだ。絶体絶命。もうだめだ。オレはいまヤツのキルゾーンの中にいる。 …終わった。猫である喜びを噛み締めていられたのは一瞬だった。オレの人生…じゃなかった、猫生のなんとあっけないことよ。
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