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もう自分ではどうしようもないのだ。この状況のなにもかもが手に負えない…。
「もうオレ無理ィィィ!
誰か助けてぇぇ、誰でもいいからあッ!」
マァァァオオ とひときわ大きく鳴き叫んだ時だった。
ザッと茂みの葉が擦れる音と、ガウッガウッ、と別のケモノの威嚇音が耳に飛び込んできた。
ドッと横から体当たりされて、オレに覆い被さっていた黒狐はあっけなく吹っ飛ばされた。もちろん非力なオレも道連れだ。うなじを噛まれて固定されてたからさァ。二匹揃って地面をザザッと横滑った。めっちゃ痛い!
ちくしょう黒狐の野郎、いきなり攻撃食らってもオレのこと離さなかったんだよ。けっこうな衝撃だったのになんという執念。…っていうか、なんだなんだ? 何が起きたんだっ?
四つ足で起き上がる黒狐。鼻面にぶらさがるオレ。その目の前には銀色の狐…? じゃない。もっと犬っぽいからきっと狼だ。そう、銀色の狼が立ちはだかっていた。
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