皇帝を名のる男

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「アラン王とはツガイになれた?」 「うん」 「確信をもってそう言える?」 「うん。あなたはそういうのわからないの?」 「わからない。どうも僕は転生ではなく転移してきたみたいで、体はまるっきり人間のままなんだ。獣型にもなれないし獣語もただの鳴き声にしか聞こえない。気がついたら帝国内の街にいて、なんだかよくわからないうちに皇帝をやらされているんだ」 「なんでオレに会いに来たの?」 「同じ境遇の相手に話をきいてみたかったんだ」 「そっか…。でもオレたちちょっと違うみたいだね」 「……そうだね」 「気はすんだ?」 「ああ…。でもキミに会う前より孤独だと感じるよ」 ポツリとつぶやくエイダンにヒロキは不思議そうな顔をした。 「なんでそんなに孤独だと思うの? いっぱいツガイがいるんでしょう?」 「だって彼らはお互いにいがみ合ってばかりだし、そもそも僕は誰のことも愛してない。向こうが一方的にツガイだなんだと言ってくるだけで、誰が本当にそうなのかわからないんだ」
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