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「申し訳ないけど僕は人間だから獣語が理解できないんだ。リシュリーくんと話がしたいんだけど、今日はずっとその姿のままなのかな?」
「……アラン?」
人型になってもいいかと問うアメジストの瞳を無言で見つめ返した。もちろんダメだと言いたいが、それはアランのわがままだとも理解している。
しぶしぶ頷いてみせるとヒロキはアランの腕から飛び降りた。「ふぬッ!」という声とともに光を放ち人型に転化する。
そしてアランの手を握り、エイダンへと向き直った。
「こんにちは。あ、こんばんは? はじめまして、リシュリー改めヒロキです」
「ヒロキ?」
「そう呼んでください。リシュリーって名前はどうもしっくりこなくて」
エイダンはどこか上の空な様子で頷くと、ヒロキをじっと見つめた。さまようような視線で全身をくまなく検分し、最後に頭の上の猫耳に目をとめた。
「僕とは違うね。いまのキミはどう見ても獣人だ」
寂しそうなつぶやきにヒロキはエイダンの中の孤独を感じた。
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