胸騒ぎ

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カッと光が炸裂し、無意識のうちに獣型に転じていた。 長い回廊を疾走する銀狼姿の王に、居合わせたものたちは瞠目した。だが、強大な力を有する α(アルファ) の気迫にのまれ、怯え縮こまり、つぎつぎ道を開けていく。 殺気立った王の妨げとなるものはなにもなかった。必死に追う護衛騎士を瞬く間に引き離し、アランは城をとびだし森の中へと姿を消した。       ※ 王が去ったあとの朝議の間では、取り残された重臣たちが不安感から右往左往していた。 最古参の山羊獣人・ザラスは、大きなため息をついて、その白く長い髭を揺らした。となりに立つ騎士団長・ガレウスにすがるような目を向ける。 「護衛は王についていますかな…?」 「……すぐに後を追わせましたが銀狼姿の王についていけるものはこの国にはおりません。おそらく一時的に見失うでしょう。が、気配を辿ってかならずや見つけ出すでしょう」 騎士団長の言葉に、ザラスは弱々しく頷いた。曲がりはじめた腰をさすりながら椅子に腰をかける。
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