発情

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「今朝のお食事も少ししかお召し上がりにならなかったようです。昨夕からは起き上がる気力も減り、ずっとソファで眠っておられたようで、フィリーが気を揉んでおります」 「なにか病気の可能性はないか?」 「熱もなく、目や口内、鼻や耳にも異常はございません。王と離れて過ごすことによる気鬱からの倦怠症状かと思われますが…」 「──人化の予兆というわけでもないのだな?」 「…はい。おそらくは──」 老医師の言葉は鋭いノックの音に遮られた。すぐに執務室の警護の騎士の声がした。 「ツガイ様のお世話係様から王医様に使者がまいっております」 アランと老医師は鋭く視線を交わした。「通せ」と言うと、私室の警護の騎士が開いた扉から駆け込んできた。さっと片ひざをつく。
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