運命との出会い

2/10
1293人が本棚に入れています
本棚に追加
/168ページ
城を飛び出したアランは森の中をひた走っていた。 木立をすり抜けいくつもの小川を飛び越え、ある一点を目指し猛然と突き進んでいた。 なぜこれほどまでに心がざわめくのか、もうわかっていた。本能が導くその先にツガイがいるのだ。 唯一無二の《運命》の相手が。  ─── しかし 森のなかは妙に静まり返っていた。いつもなら感じ取れる小動物の気配がいっさいない。 アランの縄張テリトリーりであるクレールの森に、よそ者の α(アルファ) がまぎれ込んでいるに違いない。しかも恐ろしいことに、自分のツガイのすぐそばにいるようだ。 その時だった。かすかな鳴き声をとらえたのは。恐怖に怯えた声にアランはゾッとした。 自分の大事なツガイに危機が迫っている……!
/168ページ

最初のコメントを投稿しよう!