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来る日も来る日も荒れ地を耕し
僕の手はマメでいっぱいだ。
とうさんと一緒に懸命に田畑を広げて
ようやく家族全員の、毎日の食事にありつける。
とうさんとかあさんは、昔はもっと豊かな土地で暮らしていたらしい。
それともそれは、苦しい今を忘れるための、両親の夢物語なのかもしれない。
こんな生活、僕には当たり前のものだし、
そんなものだと思っていたんだ。
ただこの生活が一変する。
弟が生まれたんだ。
弟は僕にあまり似ていない。
明るい朗らかな性格で、直ぐに両親の愛情を一身に受け始めた。
かあさんは弟を甘やかし、とうさんは弟に楽な羊の世話を任せた。
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