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「翔琉のこと、忘れませんよ。ただ気を遣っただけで」
吸われた首筋を触りながら俺は返答する。
「ふーん。その誰かさんは、俺のことを忘れてたから携帯の電源すら入れて無かったんだろ?」
棒読みで翔琉は返す。
「それは、返ってくると疲れてすぐ寝ちゃうし大部屋だから電話するのも気まずいし……」
頬を軽く膨らませながら答えると、翔琉は「分かったよ」と言いながら優しく微笑む。
「最終日、迎えに来るから……おやすみなさい」
そう言って翔琉は、俺の手の甲に軽くキスをして車で去って行った。
その晩、俺は紳士的な態度を見せた帰り際の翔琉を思い出しては動悸が激しくなり、あまり寝付けなかったのであった。
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