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だが嫌な予感は的中するもので。 「心織、大丈夫か?!」 連日35度越えの猛暑日に、慣れない環境。その中での無理がたたり、心織が軽い熱中症にかかりダウンしてしまったのだ。 「うーん、赤羽君が復帰するまで接客スタッフどうしようかなぁ」 海の家のオーナーである褐色の肌を持つ40代後半くらいの男が自身の顎髭を撫でながら、心織の代わりを思案する。 「あぁ!そうだ高遠君、キミ紫澤君と一緒に接客やってくれないか?イケメン2人がウチの看板になってくれれば、きっと今以上に繁盛するな!」 嬉しそうに思い付いた名案を口にするオーナーに、思わず俺は鯉の様に口をパクパクさせる。 拒否しようとした瞬間、隣りにいた紫澤が代わりに「ぜひ、喜んで」と笑顔で答えてしまう。 「そうか。今年は、どこの店より忙しくなるな。皆覚悟しとけよー!」 ハハハと豪快に笑いながら、オーナーは併設された民泊の方へと足早に立ち去ってしまう。 「紫澤先輩……俺なるべく顔晒したく無いんですけど」 恨めしそうに睨む俺に、紫澤は爽やかな笑顔で交わす。 「あ、そうだったの?僕としては、可愛い高遠君と夏の良い思い出作りになるかなと思ったんだけど……」 「で、も!この辺には、」 「翔琉がいるかもしれない」そう言い掛けて、自ら墓穴を掘らない様「何でも無いです」と踏み止まる。 「そう?じゃあ、宜しくね。高遠君」 嬉しそうな表情で俺の肩に手を回した紫澤に、どうか翔琉にだけはこの状況だけは見られたく無い。 そう切に願ったのであった。
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