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お姉ちゃんの久々の帰宅
お姉ちゃんが帰宅した。束の間の滞在で、またいなくなる。部屋は結婚前なので、一応別だが、姉は一緒の部屋でもいいのに、なんて親と話している。
お姉ちゃんは彼氏の前だと言っても、いつもと変わらない。
緊張とかないのだろうか?
二人が話しているのをあまり見ない。
お姉ちゃんは、練習だとか自分のことで忙しいし、放っておかれている先生のことが気の毒になった。デートもまだしていない、婚約者。
でも私は見てしまったのだ。
お姉ちゃんが夜遅くにあいつの部屋に入っていったのを。
しかも、なかなか出てこない。もしかして一緒に寝るつもり? 深夜まで談笑? もしかしたら恋人ならではのあんなことやらこんなことやら……? 密室の部屋の中で繰り広げていることを私は想像した。
でも、私が二人のことを邪魔する立場にないわけで―――
思い切って、ドアをノックした。
勉強を教えてほしいという口実を作って。
もし二人の服が乱れていたらどうしようとか、そんな想像が頭をめぐる。
トントン
「どうした?」
先生がいつもどおりに対応する。部屋にはお姉ちゃんがいた。
「ごめん、勉強でわからないことがあって、邪魔だったね」
「ううん、大丈夫よ。受験大変よね」
お姉ちゃんは先生のベッドの上に座っていた。
心が乱れる。これから、どうするのだろう?
深夜まで私も一緒にいるわけにもいかない。
でも、このまま二人がラブラブになることは、辛い。
「お姉ちゃん、ここに泊まるの?」
思い切って聞いてみた。
「どうしよっかなー」
何? その意味深な答えは。
「お姉ちゃん、この人のどこが好きなの? 1回会っただけでプロポーズするほどの男?」
さりげなく先生をけなしてしまう私。
「二人ともデートもしていないし、数回会っただけで結婚して、本当にいいの?」
核心を突いた。
「私はそれでもいいけど……彼は私に放っておかれて義理の親と同居して……
不満なんじゃないかと話し合いに来たのよ。最近、この人私に対して冷たいのよね」
……そうなの?
「お互い相手を知る時間が足りな過ぎたから二人でじっくり話そうと思って。俺、ここでの生活に不満はないし楽しいと思っているけど、結婚することはもう少し時間をかけて決めたいと思っているんだ」
「勉強は明日でいいから、今晩は二人でじっくり話し合ったほうがいいかもね」
私は二人の空気の重さに、退散することにした。
足はまだ治っていない。
「大丈夫か?」
先生が私の部屋まで肩をかしてくれた。
いつものことだから、お互い歩く波長がぴったりだった。
私が去った後、二人はどんな話をしたのだろう?
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