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白い天井、白い壁、白いベッド
ベッドのそばにはナースコールのボタン
娯楽など何もない中に、申し訳程度のテレビが置いてある。
この空間が、今の、そしてこれからの人生での私のすべて。
白に塗り込められた病室の中の、真っ黒な存在
無垢の中にあってひときわ目立つ影
これが私。
病室の白と全く見分けがつかないような白い髪に、ガタのきてとっくに動かない体
それでも汚いまでに生にしがみつき、息絶えてくれはしないこの体
それは私であって私でないような、そんな体。
それは生きている。
心はとうに終わった
精は尽き、根も果てた
一度は気も狂ったが、もうそれすらもできない。
だが生きている。
自分で死ぬことができるなら、もう少し楽なのに…。
そう思うこともある。
それには心の強さが足りないのだが。
ただ生きている。
自分で幕を下ろす覚悟のない生などは、所詮はまやかしである、とは誰の言ったことであったか。
どうでもよいことではあるのだが、しかし今の自分にぴたりと当てはまる。
しかし、やはりというべきか、それすらも今はどうでもよい。
おそらく私はこのまま、何も感じることもなく、元々そうであったかのように死ぬのだろう。
だがそれでいい。結局はすべて自然のままなのだ。
そんな悟りにも似た感情を抱きながら、今日も私は眠りにつく…………
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