明晰夢

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 気がつくとそこは見覚えのある場所だった。私はそこに立っている。  懐かしさに、もう出ないはずであった涙が頬を伝う。  高校の校舎裏……。  しかし、そんな涙も浮かんできた大きな疑問によって止まり  しかし、そんな疑問も目の前の光景によって消えてしまった  目の前にいるのは…… 「やあ、待った?」  安藤 カナだ……  見覚えがあるどころではない。記憶が一気に頭の中に入り込んでくる。記憶の通りだとこの後……! 「えっとね、こんなところに君を呼んだのは……、その…、言いたいことがあるからなんだ………、そう、君に……」  そうだ!この後の台詞を、私は一言一句憶えている!この後は…… 「その、私と。付き合ってくれないかな?」  このシーンを私は知っている……、知っているんだ…、そうだ、知っている。この後どう答えたのかも……… それなら迷うことはない。ずっと後悔していたんだ、ずっと!何故忘れていたんだ!!そうだ、それなら…  それならばここで変えてやる!!!! 「嬉しいよ、安藤。いや、カナ……」  私は答える。それが当然であるかのように、2回目のように、発したこともない言葉を紡ぐ…… 「必ず、君を幸せにする」 「本当…?」 「勿論」  カナは100万輪の花が同時に咲いたような笑みを浮かべ、こちらを見る。 「嬉しい!本当に良かった!!大好き!!!」
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