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私は咄嗟に腕で自分の頭をかばう。なかなかやってこない痛みに焦れて、横にいるカナを見やる。
カナは変わらず立っている。頭が無くなっていること以外は。
いや、違う。無くなっているのではなく、真っ二つに割れている。
頭頂部に、相当重い刃物をしっかりと叩きつけないとこんな割り方はできないだろう。
私は恐怖すら超えた畏怖を感じ、もう一度目の前に現れた人影を見る。今度はしっかりとその人物を認識する。
女の子だった。髪は長く、背は少し低い。ちょうど頭一つ分、私のほうが高いようだ。
カナは私と同じくらいの身長なので、今のカナと比べたらいい勝負になるだろう。
手に持っているのは、巨大な斧だった。目の前の女の子と比べてみると、大体身長の三分の二くらいある、非常に大きな斧である。これを振り下ろしたのならカナの頭の割れ方も納得だな、と思うと同時に、こんな大きな斧を持ち上げ、振り下ろすことができる目の前の少女の腕力に脱帽する。
私は少女に、
「何か用があるのかい?」
と尋ねたが、少女は虚を突かれたかのように口を閉ざしてしまった。
少し考えて、ここで自分が平然としていることは明らかにこの少女にとって不自然であろうことに気付く。
「驚かせてすまない。あまりにも突然の出来事だったもので、かえって冷静になってしまったんだ」
と軽く謝ると、ようやく落ち着いたようで、
「あの………、あなたに言いたいことがあって待ってたんですけど、来なかったのでこっちから来ちゃいました。ごめんなさい……」
と言った。
「謝る必要はないさ。すぐに言いたいと思うことなんて、誰にでもあるからね」
優しく声をかけると、少女は子犬のような人懐っこい表情で微笑んだ。
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