/390ページ
背中を丸め、口を手で押さえながら息苦しさに耐えていると、背中越しに大きな手のひらを感じた。
椅子から勢いよく飛び出した清宮が、咳払いで震える背部を気遣うように撫で続けている。
「すみません……ちょっとむせてしまいました……」
「すまない。俺が無理に食べさせたから」
「いえ、そうではないんです……ケホ……ッ」
「もういい。無理に喋るな」
彼は持っていたペットボトルを奪い取ると、サイドテーブルに置いた。
前屈みになる美月の身体を支え、神妙に横たえてくれる。
――なんだか身体が熱い……。
身体の内側からじわじわと熱に冒される感覚があった。
そういえば血液検査で炎症反応が基準値より高いとか言っていたような気がする。
つい先ほどまでは何ともなかったのに、急にどうしてしまったのだろう。
もしかしたら気づいていないだけで、身体は思いのほか熱に蝕まれていたのかもしれない。
しまったな……と、焦点の定まらない視界にぼんやりしていると、男らしさを感じさせる大きな手が伸びてきて、美月の小さな額にそっと触れる。
焦りを滲ませた声が、すぐそばで聞こえてくる。
最初のコメントを投稿しよう!