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クモ人間 five
僕はティーンになると、周囲から『Nerd』と揶揄われるようになった。好きな分野にのめり込み過ぎると周りに目が行き届かなくなり、日常生活では薄ぼんやりしていると指摘されることが多くなった。
その頃からだ、自分の性的指向が同性に向いていると思うようになったのは。気が付けば隣に住むワタールを常に目で追うようになり、彼の一挙手一投足が気になって仕方がなかった。
高校生になり彼に彼女が出来た時に、僕は強い嫉妬心に駆られた――その時はっきりと、ワタールへの感情が恋愛のそれに類するものだと確信したのだ。
……そんな風に僕の心を思いっきり搔き乱すワタールのことが、大切で大好きで愛しくて――切なくて苦しい。
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