クモ人間 two

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クモ人間 two

 僕の家の隣には、幼馴染のワタールが住んでいる。  同級生で、同じ高校の生徒だ。  あいつは成績優秀で、ハンサムだしなんでもできる。皆の憧れの存在だ。  僕と違ってリア充で、いつでも男女を侍らせている。  当然、僕に立ち入る隙はない。近くに住んでいるのに、いつでも遠くから眺めているのが精いっぱい。  偶に話をすることもあるが、そんな日は最高にラッキーな気分になる。  一方で、あいつの家庭は複雑だ。  アル中の父親が、いつでもワタールを怒鳴って殴る。そんなとき、ワタールは取り巻き達と何処かへ出かけて行ってしまう――昼夜問わずにね。  僕は、そんなワタールが大嫌いだ。  リア充で、いつでも取り巻き達に囲まれている。そんなワタールが嫌いだ……格好が良すぎるし、キラキラ輝いてるし。  アル中の親の事もあるのに、全てにおいて完璧に頑張り過ぎるワタールが大嫌いだ! 見ているのが、辛いんだ!  辛いんだ……
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