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クモ人間 eight
僕は助けを求める声に導かれ、毎日マンハッタン中を飛び回る――そんな中、正体を暴こうとする敵対組織に命を狙われることもしばしばだ。
先日、最愛の伯父が僕の巻き添えとなって帰らぬ人となってしまった……全て、僕の甘い考えが原因だった。
『大いなる力には大いなる責任が伴う』
これは亡くなった伯父が、最期に僕のために遺してくれたメッセージだ。
僕に授けられた力は
僕を一生呪い続ける
これ以上、大切な人を失いたくない。
僕は涙を呑んでワタールを送り出し、困っている人を助ける――それが、僕に授けられた力の使途であり使命なのだ。
ワタール、元気で……!
卒業式の翌日――
バックパックを背負って街を離れるワタールを、カナーメは長距離バスターミナルの片隅でひっそりと見送った。
ワタール。僕は……、お前が大嫌いだ! 大嫌いだから引き止めなかったんだ! そう思えば、僕の気持も少しは凪ぐ――キライだ……! ガンバレ……。
自分の部屋に戻った途端、涙が滝のように両の目から溢れ出す――しかし、犯罪は容赦ない……
『ギャーッ! 助けてくれー! クモにんげーん!』
袖口で乱暴に顔を拭ったカナーメは速攻で着替えを済ませ、マンハッタンのビルの谷間に吸い込まれていく。
今日も、また――
クモ人間―End.―
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