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二.
美希がライと出会ったのは、“魔法使いたちのハロウィン”というパソコン限定だったゲームがついに仮想世界として登場したばかりの頃だった。
プレーヤーの間で“まほハロ”と愛称で呼ばれ慕われているこのゲームは、シュミレーションと呼ばれるジャンルのものだ。
主人公となる各プレーヤーは、ゲーム内で開催されるハロウィンにあるトーナメントで勝てなければエンディングを迎えることはできない。
そんな様々なジャンル―戦いだったりクイズだったり育成だったり―が混在するゲームは男女から支持され、美希もまた、すっかりハマっていた。
仮想世界というものにも興味があった彼女が、現実と仮想世界をリンクさせる新しい様式のゲームに参加するのもまた自然だった。
「じゃあね、美希」
「ばいばい」
ゲームセンターの前で友人の奈央と別れ、一人で入る。彼女は美希がこのゲームをしていることも、そのためにゲームセンターに行っていることも知っていた。
だから決して仲が良くないとかそういう問題はない。ただ、いわゆる“物好き”と彼女に思われていることは事実で、美希はそんな友人を誘うわけにもいかず、一人で遊ぶことが多かった。
ライと出会ったのは、そんなときだ。
「君もウィザード?」
「え?」
筐体の前に立った美希に話しかけてきた人がいた。彼女は驚いて後ろを振り返る。そこにいたのは、やたら顔立ちの整った少年だった。
彼の髪色は灰色よりも更に薄い、白に近い色をしていて、はたからみれば外国人のようでもある。それこそが“ライ”だった。
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