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三.
「はー! 楽しかったー!」
「私も」
ログアウトし、ゲームセンターの店内に戻ってきた二人は並んで座ってジュースを飲んでいた。ライはメロンソーダ、シオンこと美希はアップルジュース。
「パソコン版はさ、眷属を探すクエストで諦めちゃったんだぁ」
「ああ、あれ……。難しいよね。私もつまずいたよ」
「やっぱり? でもシオンちゃんはクリアしたんだよね」
「うん。そのときは、たまたま一角獣に出会えて」
「ユニコーン!? えーすごい!! レア度七じゃん! 俺あったことない!」
「遭遇率、100%のうち2%だしね」
思い切りテンションがあがるライの大振りな動作と声に、自然とシオンも笑みがこぼれる。
ユニコーンと出会えててよかった、と心の底から思えた。
「いいなあー。あのとき、いくら探しても条件クリアするやつにあえなくてさ……」
「確か、レア度は三以上、一つから三つの角があること、カラー所属が白の光魔法か黄色の雷魔法、赤の炎魔法……だったよね」
「もうちょっと難易度下げてくれてもいいと思うんだよなあ。ユニコーンは全部クリアしてるね!」
羨ましさはもちろん出しているものの、素直に喜んでいる彼を見ていると、思わず提案をしていた。
「じゃあ、連れてこようか?」
「え?」
「パソコン版から、眷属を連れてくることができるの。今までは別にいいかなって思ってたんだけど……」
「本当に!? 会いたい会いたい!」
「ふふ、いいよ。じゃあ次……、今日は金曜日だから来週の月曜日にね」
「分かった! すげー楽しみ!」
「うん!」
子供のようにはしゃぐ彼に、ユニコーンを見せてあげたいと思うシオンの心の中はすっかり彼のことでいっぱいになっていた。
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