ある日の少年とその父。

1/1
4人が本棚に入れています
本棚に追加
/99ページ

ある日の少年とその父。

「父さん、僕は誰とも結婚しなくてもいいかな。僕が結婚すると奥さんは死んでしまうんでしょ?」  少年は「父さん」と呼ぶにはとても若い青年を仰ぐ。  少年と青年の顔はとても似ていて、血の繋がりが感じられる。  少年はまだ10歳前後、そして青年はまだ20代に見えた。なので、親子というよりも兄弟のような二人。  二人は大木の影で涼みながら、話を続ける。 「……でもヒトシは18歳までに結婚しないと死んでしまうんだよ。それでもいいのかい?」 「いいよ。だって父さんも母さんが死んだ時、悲しかったんでしょ?僕はそんな悲しい思いをするくらいなら死んだほうがいいよ」  少年ははっきりと意志を伝え、青年は何も言わずただ悲しそうに微笑んだ。
/99ページ

最初のコメントを投稿しよう!