法正伝

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(註釈) 法正のおじいちゃんは 「玄徳(げんとく)先生」と呼ばれてたんですね。 「玄徳」は老子の用語で 目に見えない徳の事を指します。 果たして物資や知識の豊かさが 人間に真の幸せをもたらすのだろうか、 玄妙な「道」を見つめ直し 根源的な無為自然に還れ。 儒学思想の目指している、 人物の理想像を追い求めて 世のために生かすこと、 要は立派な社会人たれ……というのが ゴールではない、という考えなんです。 (表現力に乏しくて伝えきれませんが 本来もっと老荘思想は深遠なモノです 奇しくも劉備のあざなと 祖父の道号が同じで、 法正は運命を感じたかもしれません。 宮城谷昌光先生の三国志では 「玄徳」のあざなを持つ劉備は 老子の信奉者なのかな?と思える設定で 物事に対する執着心が薄く だからこそ兄弟や軍勢、国すらも 見捨てて逃げることに躊躇いがない。 〝積み上げる〟ことに興味がなくて 儒教思想に凝り固まった気風から 最も縁遠いところにいる男。 ……と、従来の劉備像とは一線を画していて とっても斬新でした。 劉備って主人公の割にナゾすぎる人物なので 画期的な劉備像を打ち出すだけでも それは「ネオ三国志」になり得るんです。 讖緯(しんい)は説明するのが難しいんですが 儒教の経典にこじつけた 占いみたいなものです。 1986年に発売された ドラクエ1の「復活の呪文」で 浅田真央ちゃんが氷を滑るとか ベルリンの壁が崩壊するとか 未来のことが予言されてるっていう あれと大体一緒です(絶対違う 新の王莽(おうもう)がこういった占いを用いて 自身の高貴性、神秘性をアピールしたので 後漢初期くらいに流行りました。 後漢のスーパーヒーロー光武帝も 即位するとき讖緯を利用してたりします。 柳下恵は 「やなぎしためぐみ」? って読みそうになりますけど 「リュウカケイ」です。 柳下恵(りゅうかけい)は魯の人で、 三回降格させられても 出奔せず留まり続けました。 「魯の哀公」は孔子の晩年の君主で、 孔子の言う事をあんまり 聞かなかった人っていうイメージです。 孔子の春秋は哀公の代で 筆を折る流れになってます。 (最初と最後しか読んでないやつ
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