馬超伝

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馬超伝は以上です。 年表にしてその事績を振り返ります。 ・176年 馬超生まれる。 (字に〝孟〟が入ってるから長男?) ・190〜193年?(15〜18歳) 父馬騰に従って西へ? 馬騰は韓遂と兄弟の契りを結ぶも 後に反目し合い、抗争を繰り広げる。 (典略) ・196年(21歳) 曹操が司隷校尉の鍾繇(しょうよう)を派遣し 馬騰と韓遂を仲裁する。 ・202年(27歳) 鍾繇に従軍し 袁紹軍の残党の郭援・高幹を討伐する。 ・208年(33歳) 丞相となった曹操の出仕要請を断る。 父・馬騰が衛尉として入朝し 詔勅によって徐州刺史に任じられると 一家ともども東方へ移住。 馬超ひとりが関中に残って 偏将軍・都亭侯となり 馬騰の軍勢を引き継ぐ。 ・211年(36歳) 韓遂・楊秋・李堪・成宜らと結託し 朝廷に反旗を翻す。 潼関に於いて曹軍と交戦するも 賈詡の計略によって 韓遂と仲違いし敗北。 西へ逃走する。 ・212年(37歳) 涼州で羌族の力を借りて再起。 冀城を陥落させ 涼州刺史の韋康を殺害し 征西将軍・并州牧・涼州軍事総督を自称。 韋康の旧臣の楊阜らが策を練り 馬超を涼州から追放。 家族の多くを失い、漢中へ出奔する。 また、馬超の反乱のかどで 馬騰らが皆殺しにされる。 ・213年?(38歳?) 張魯が娘を馬超に娶せようとするも 部下の反対があったため沙汰止みに。 馬超は張魯に兵を借りて涼州を攻めるも 目ぼしい戦果をあげられず。 張魯の将の楊白が馬超を 除こうとしたため、氐族のもとへ逃げる。 (全て典略の記述で、本文にはない) ・214年(39歳) 成都を包囲していた劉備に降り、 馬超の来降を聞いた劉璋が降伏。 益州を平定した劉備によって 平西将軍に任じられ、臨沮の督となり、 以前と同じく都亭侯に封じられる。 ・219年(44歳) 劉備が漢中王に即位。 左将軍、仮節となる。 ・221年(46歳) 劉備が登極し漢を建国。 驃騎将軍に昇進し、涼州牧を兼任し 斄郷(りきょう)侯に進封される。 ・222年(47歳) 没する ・260年 威侯を追謚される。 張飛と同じく、217年頃に 曹洪と戦っていたり、 涼州で暴れてた頃に 夏侯淵と戦ってたりするのですが 馬超伝本文にはありません。 最後に、ンバの個人的な馬超評です。 ・戦闘 ★★★★★★★7 局地戦に強く、あの曹操すらも あと一歩のところまで追い詰めています。 諸葛亮と楊阜は馬超を黥布(げいふ)彭越(ほうえつ)韓信(かんしん)ら 前漢の名将・猛将に準えており、 その武名が轟き渡っていた事を窺わせます。 ただ、許褚(きょちょ)の迫力にビビっていたり 「魏略」では閻行(えんこう)に殺されかけたとあるので 関羽と張飛よりやや劣るかも? と判断し、二人より★1つ減らしました。 山陽公載記では、デタラメ記事とはいえ 馬超は関羽と張飛の威圧感に恐懼していて 余計に関張>馬超のイメージが付きました。 ・戦略 ★★★3 その行動において一貫性がなく 行き当たりばったり感があります。 強いけど道義なし、考えなしで 呂布と近いイメージです。 山陽公載記では 戦術眼を披露する場面もありますが 山陽公載記は誤謬が多くて信用できません。 対曹操、対楊阜(ようふ)ともに 直接の武力ではなく、計略によって 敗れているため、高い評価はできないです。 ただ、馬超が反乱を起こさなければ 漢中が曹操に奪取されるのが早まり 劉備は詰んでいたかもしれません。 ・内政★★★★★5 劉備政権下の形だけの涼州刺史です。 劉備に降ってからは かなり大人しくしています。 プラスマイナスゼロ? ・人格★★★★★★6 父親を見捨てて反乱を主導し 離反を幾度も繰り返す、 一旦和睦した相手を斬るなど かなり利己的で残虐な性格と言えます。 最終的に劉備に帰順したため 好意的に捉えられているだけで、 本質は董卓や呂布と大して 変わらないのではないでしょうか。 ただ、曲がりなりにも名門馬家の出で、 曹操を追い詰めた実績から ネームバリューは相当なモノです。 馬超の来降が劉璋降伏の決め手となったほか 劉備が漢中王となった時の上奏文には 臣下の筆頭に新参の馬超の名があります。 氐・羌族への影響力も高く 漢民族と羌族の板挟みとなり、 漢民族視点の史書では 悪く書かれているのかも?と思うと これくらいの評価が妥当かなと思います。 ちゃんと馬超伝を読んでみて、 彼が「後漢の名臣の子孫」というのは ほとんど幻想であることがわかりました。 関中や涼州で乱戦を繰り広げた馬超も 劉備に降ってからは大人しくなってしまい、 前半後半でイメージが大きく異なっています。 地元で暴れまわっていたヤンキーが 好き勝手やりすぎて反省し だんだん人格が丸くなっていく様を 見ているような感覚でした。 これにて馬超伝を終わります。
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