好きが嫌いで、嫌いが好きで。

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「助けてくれ、ユウ」  深刻な表情で舞花ちゃんが言った。 「海堂の野郎を諦めさせる方法を教えてくれ!」 「へ?」  言っていることの意味がわからなくて、わたしは戸惑った。  それは放課後、舞花ちゃんに相談に乗ってほしいと言われて立ち寄った喫茶店でのこと。いったい何の話しだろうと思って聞いてみたらいきなり冒頭のセリフだ。舞花ちゃんは男勝りな外見(というかもはやイケメン)を反映したかのようにちょっとガサツというか大雑把なところがある。それは言いかえれば細かいことを気にしないというおおらかさにもなりえるのだけれど、さすがに今回は何を言っているのかわからない。 「えっと、どういうこと? 海堂くんがどうかしたの?」  気を取り直してわたしは訊ねた。 「すまん。これじゃあ何を言っているのかわからねえよな」  まったくだ。  と思った次の瞬間、舞花ちゃんの口から恐ろしい事実を知らされた。 「じつはわたし海堂に……、なんというか……、言い寄られているんだ」 「は?」 「つまり告白されたんだよ!」  一瞬、気が遠のくのを感じた。  海堂くんが舞花ちゃんに告白?  あの、海堂くんが?  海堂くん。フルネームは海堂至。クラスは違うけれど同じ高校1年生。しかし彼の名前は、うちの生徒ならクラスどころか学年が違っていても一度は耳にしたことがあるだろう。それくらい彼は有名だった。で、なんでそんなに有名なのかと言うとだ。  簡単に言うと、超のつく美少年だからだ。  中性的な顔立ち、透き通った肌、屈託のない笑顔。ちょっと天然でミステリアスな王子様気質。そして何事もそつなくこなす天才肌。二次元から飛び出してきたんですか、って言いたいくらいの完璧な美少年。  そんな海堂くんに女の子は誰もが恋に落ちた。男の子ですら恋に落ちる人が出るほどだった。少しでも彼の視野に入りたいと願い、付きまとうようになる人もたくさんいた。感情が制御しきれなくなってストーカーまがいの行動に出てしまう人すらいた。その症状に段階はあるものの、学校中のほとんどの生徒が彼に好意を寄せていた。正直に言うと、わたしもその例外ではない。まあ、症状は比較的軽いのだけれど。  軽いのだけれど。  そんな美少年の海堂くんだが、誰かと付き合ったことはないらしかった。これまで多くの人が彼に告白したが、そのすべてを彼は断ってきたらしい。相手がモテ女だろうと美少女だろうと海堂くんの心は動かなかった。ならばと挑戦した男の子もいたが、さっぱりだったそうだ。ここまでダメだなんて、もしかして許嫁や心に決めた人が? なんて噂も一時期出たがいまでは否定されている。そんなわけで、海堂くんは恋愛に興味がないのだ、というのがいまの定説になっている。それはそれで海堂くんラブなみなさまにとっては、誰のものにもならないみんなの海堂くんという立ち位置になるので、よかったのだが……。 「ごめん。よく聞こえなかった。もう一度言ってくれる?」  わたしは舞花ちゃんに言った。 「だから、その、海堂に告白されて……」 「それって舞花ちゃんの妄想じゃなくって?」 「はあ? なんでそんな妄想しなくっちゃいけないんだよ」 「……舞花ちゃん」 「うん?」 「殴っていい?」 「!?」 「海堂くんに夢を見たみんなの気持ちをこの一発に込めるわ」 「や、やめろ! 悪かった! 謝るから一度落ち着け!」  わたしは作った握りこぶしをほどいて、ゆっくりと深呼吸した。  そして笑顔を取り戻す。 「ごめん、ちょっと取り乱しちゃった」 「ちょっとっていう表情じゃなかったぞ。やべー目してたぞ」  わたしは咳払いをして話しを元に戻した。 「相談内容に戻るけれど、つまり告白してきた海堂くんに対して、舞花ちゃんにはその気がないから諦めてほしいと、そういうこと?」 「おうよ」 「そのことは本人に言ったの?」 「言ったさ。告白してきたその場で、正面からガツンとな。だけど諦めないからとかなんとか言いやがってよー」 「それはそれは……。本当に男らしいね、舞花ちゃん」  色恋沙汰になるとうろたえるっていうのが男勝りな女の子にありがちなキャラ設定ってものだろうけど、舞花ちゃんはそれを上回る変な強さを持っているようだった。  そしてここまでのやり取りからわかるだろうけれど、その特別な性格ゆえか舞花ちゃんは海堂くんにまったく感心を寄せていないのだ。それどころか「あんなヤツのどこがいいんだ?」なんて思っている。恐らく舞花ちゃんは、海堂くんを嫌っている唯一無二の存在。ちなみに表立ってそう言わないのは、言った瞬間に海堂くんラブなみなさまの総攻撃にあうから(本人経験済み)。  そんな舞花ちゃんが、海堂くんに告白されるだなんて。 「っていうか舞花ちゃん、海堂くんとは別に仲良くなかったよね。それなのに告白されるなんて、いったいどんな経緯が?」 「それがよお。入学してすぐのころ、わたしがおまえを昼飯に誘っただろう?」 「うん」  入学して間もないころ、ひとりぼっちだったわたしを舞花ちゃんがお昼ご飯に誘ってくれた。それがきっかけでわたしと舞花ちゃんは友達になったのだ。  でも、それと今回のことに何の関係が?  舞花ちゃんが会話を続ける。 「で、誘ったはいいけどおまえってばちょっと緊張しているみたいだったし、わたしも何を話したものかと思ってさ。それで、あの話題を振っただろ?」 「ああ、あの話題ね」  わたしはそのときのことを思い出した。  それからの一連の流れも。 「おまえ、学校に好きな人とかいる?」  お弁当を食べながら、舞花ちゃんはいきなりそう訊ねてきたのだ。彼女にしてみれば女の子というのは恋愛話しが好きな生き物で、そういう話題を振っておけば間違いないと思ったらしい。いまなら「そんなわけあるかーい」と突っ込むところだけれど、そのときのわたしはご飯を喉に詰まらせた。そのあとは言葉も詰まらせた。いきなりなんてこと聞いてくるのこの子は? もしかして高校生にもなればこれくらいの会話は当然なのかな? 答えなかったらノリが悪いと思われる? せっかくこうして誘ってくれたのに……。そんなふうに混乱したわたしは、緊張も手伝って思いつくままにこう言った。 「か、海堂くんがちょっと気になる、かな?」  そのころ海堂くんはすでに知られた存在で、わたし自身気になっていたことも事実だった。けれど、無難な答えという意味でも彼の名前は言いやすかった。芸能人なら誰が好き? という問いに誰もがイケメンだと認める人を言うようなものだ。おかしな人と思われない安全で納得のいく答え。ある意味つまらない答えとも言えるが、少なくとも会話は成立する。  けれどもその答えに、舞花ちゃんは、 「ケッ。おまえもあいつのことが好きなのかよ。わたしは嫌いだね。みんなにキャーキャー言われて、それに対して笑顔を振りまいて。本当の自分を隠して八方美人に行動しているって感じ? はっきり言ってちょっと気持ち悪いよ」  と言ったのだ。  ほんとうにはっきりと。 「そ、そこまで言わなくても……」  わたしが驚いてそう言うと、舞花ちゃんはハッとした表情を見せてから困ったように苦笑した。 「いや、悪い。人の陰口なんて言うものじゃないよな。すまん」  舞花ちゃんは反省している様子だった。とつぜんの悪口に驚いたけれど、いい子なのだと思った。  と、そうだ。そのときだった。 「大丈夫。陰口になってないから」という男の子の声がした。  わたしたちが振り向くとそこに、海堂くんが立っていた。 「おまえ、いつの間に!」と舞花ちゃん。 「ちょっと通りかかっただけだよ。盗み聞きみたいになっちゃってごめんね」海堂くんはばつが悪そうにしている舞花ちゃんをフォローしてから続ける。「それでなんだけど、きみ……、えっと名前は? ぼくは海堂至って言うんだけど」 「泉沢舞花だ」 「そう、泉沢さん」海堂くんは微笑みを浮かべながら言った。「きみはいまぼくのことが嫌いだって言ったよね? それってほんと?」 「ああ、悪いがほんとうだ」舞花ちゃんは少し迷ってから言った。「わたしは海堂が嫌いだよ」 「ふーん、そっか。いや、別に悪いと思う必要はないよ。いろんな人がいるんだ、好きになれる人もいれば嫌いな人もいる。それがふつうでしょう? そう、それがふつうなんだ。誰からも好かれるような人がいたら、それこそどこか変だよね。気持ちが悪いよ」  海堂くんは「ふふっ」と笑う。見間違いでなければ彼は嬉しそうだった。そんな様子に舞花ちゃんは戸惑ったのか「はあ……」なんて曖昧に返事をする。 「いや、ごめんごめん。でもそうかあ、泉沢さんはぼくのことが嫌いかあ。ふふっ。ああ、きみたちはお昼ご飯の最中だったね。邪魔したら悪いからぼくはもう行くよ。それじゃあ」  それだけ言うと海堂くんは去っていった。  あっさりと。 「なんだったんだ、あれ?」  舞花ちゃんはなかば呆然としながら言った。 「さ、さあ?」  わたしもよくわからないまま海堂くんの背中を見送った。  そういうことがあのときにあった。 「っていうことがあっただろ?」  あのときの出来事を話し終えて、舞花ちゃんが同意を求める。 「うん。そういえばあったね、そんなこと」わたしは首を縦に振る。 「どうもあれがわたしに興味を持つきっかけだったらしいんだよ」 「あれが……、っていうかあれで?」 「だって聞いてくれよ。あいつわたしに告白するときなんて言ったと思う? 『ぼくのことを嫌いだって言ったのはきみだけだ。だからぼくは、きみのことが好きだ』だぜ?」 「え?」  それってつまり……。 「つまり海堂のやつは、自分のことを嫌いな人が好きな変人らしい」 「ええー……!?」  ある意味衝撃の事実だった。  好きだと言い寄ってくる人はタイプじゃない。だから海堂くんは、誰からの告白も断ってきたのか。なんというか、これまで好き好きアピールをしてきた女の子たちの行いが無に帰すようで、悲しくなってくる。  ああ、諸行無常……。 「で、どうすりゃあ海堂のやつは諦めると思う?」  感慨に耽っているというか、放心しているわたしに舞花ちゃんが詰め寄った。 「ああ、そういえばそういう相談に乗っていたんだっけ。なんかいろいろ衝撃すぎて忘れてた」 「おいおい、しっかりしてくれよ。で、わたしはどうすりゃあいいんだ?」  わたしは空っぽの頭で考え、すぐさまひとつの結論に飛びついた。 「海堂くんは、嫌いだと言ってくる人が好きなんだよね」 「そうだな」 「だったら逆に好きと言ってやればいいんじゃない?」 「へ?」 「好きと言ってやればいいんじゃない?」なぜか繰り返すわたし。 「誰が、誰に?」 「舞花ちゃんが、海堂くんに」 「そ、そんなこと……!」  しかししばらく黙り込んだあと、舞花ちゃんは言った。 「……そうか、それでいいのか。おまえ、天才だな! そうと決まれば即実行だ。サンキュー、ユウ。ちょっといまからコクってくる!」 「えっ、ちょ、舞花ちゃん……?」  なんか知らないけど納得したらしい舞花ちゃんは、わたしの制止を無視して喫茶店を飛び出していった。 「…………」  わたしはテーブルに残った、飲みかけのアイスティーを見て思った。  舞花ちゃん。小さいことを言うようだけど、飲み物代はちゃんと払っていってほしい。  それから次の日。  舞花ちゃんはすがすがしい顔で教室に現れると、わたしに言った。 「いやあ、うまくいったよ。さすがはユウだな」 「舞花ちゃん、ほんとうにあのあと告白しに言ったの?」 「もちろんだぜ。海堂のやつ、わたしが『好きだ』って言ったら『ごめん』だってさ。ほんとうに自分のことを嫌いなやつじゃないとダメなんだな〜」  うわあ、この子ほんとうに告白したんだ。しかも真正面から。  でも、なんか勇気の使いどころがおかしい気がする……。  ちょっと舞花ちゃんらしくない。  いや、それはともかく。 「声が大きいよ、舞花ちゃん」 「おっと……」  舞花ちゃんはいまさら声を潜めた。ちょっと遅い気がするけど、でも内容としては振られた話しだから、聞かれたとしてもあまり害はない、かな……?  そんなわたしの気持ちを知ってか知らずか、舞花ちゃんは明るく言う。 「ま、とにかくこれで一件落着だ。マジでサンキューな!」 「ならいいんだけど」  わたしは小さくため息をついた。  ほんとうにこれで大丈夫なのかなあ?  しかしわたしの心配をよそに、舞花ちゃんが海堂くんに告白されたという事件はあっけなく終焉を迎えた。  海堂くんが舞花ちゃんに近づくことはなかったし、舞花ちゃんが告白されたという事実もバレていないのか単にうやむやなってしまったのか、とにかく誰かに因縁をつけられるということもなく、舞花ちゃんは日常を取り戻したようだった。  と、思ったのだけれど……。  少し意外なオチが待っていた。  それはしばらく経ったある日のお昼休み。 「ちょっといいかな?」  わたしと舞花ちゃんが中庭でお弁当を食べているところに、海堂くんがとつぜん現れた。 「なんの用だよ」舞花ちゃんがすかさず牽制を入れる。 「そんなに睨まないでよ。ぼくはお礼を言いにきただけさ」 「お礼?」 「そうとも」  そう言って海堂くんは隣のベンチに座った。その様子をわたしたちは黙って見ている。ただ座るだけの動作なのにどうしてこんなに絵になるのだろう。彼の周囲には別の空気が流れていて、わたしはすっかり飲まれてしまう。  やがて海堂くんが言った。 「きみたちのおかげでぼくの周辺は最近いい雰囲気なんだ。『ぼくを嫌いだと言ってくれる人が、ぼくは好きだ』という話しをきみたちが広めてくれたおかげでね」  わたしと舞花ちゃんは顔を見合わせた。それからわたしたちを代表するように舞花ちゃんが訊ねる。 「どういうことだ?」 「つまりその話しに従うならば、ぼくに好かれたい人はぼくを嫌わなくちゃいけないってことさ。少なくとも表面上はだけどね。おかげでぼくに近づこうとべったりつきまとう人はいなくなった。みんなとの距離感がちょうどよくなったんだよ。いやあ、いいものだね。彼女たちとふつうに接することができるっていうのは。おかげでぼくの日常も平穏さ」  わたしはハッとした。たしかにここ最近、海堂くんにつきまとう人が少なくなったように思う。特に深く考えてなかったけれど、まさかあのとき教室でわたしたちがした会話が原因で……? いや、まさか、そんなこと……。  そのとき海堂くんが微笑んで言った。 「噂の力っていうのはすごいよね」  わたしはその笑顔を見て怖くなった。  まさか……。  まさか最初からそれを狙って……? 「おまえ、それが目的でわたしに好きだなんて言ったのか」  わたしの気持ちに答えるように舞花ちゃんが問い詰めた。  真剣な表情で、なかば睨みつける形で。  しかし海堂くんはそんな雰囲気に飲まれず、美少年の微笑みのまま肩をすぼめた。 「まさか。ぼくはそんなに計算高くないよ。結果的にそうなっただけ。でもそうだね。仮にそうだったとしてもおあいこでしょう? 泉沢さんだって好きでもないぼくに、好きだって言ったんだから」 「んぐうっ……!?」  痛いところを突かれて舞花ちゃんが変な声をあげた。  そう、じつを言うと舞花ちゃんが海堂くんに告白したと聞いてわたしが1番驚いたのは、彼女がウソをついたことだった。海堂くんを諦めさせるためとはいえ舞花ちゃんらしくない。勇気の使いどころがおかしい。平気そうな顔をしていたけれど、舞花ちゃんも案外焦っていたのだろうか。王子様にとつぜん、告白されて。  無邪気に微笑みながら海堂くんが会話を続ける。 「でも、ぼくは少なくとも泉沢さんに好きと言えてよかったと思っているよ。なんて言うのかなあ、ぼくもやってみたかったんだよね、追いかける側ってやつをさ。ぼくのほうから好きと言ってまともでいられる人って、泉沢さんくらいしかいないだろうしね。それにね、ぼくは知りたかったんだ。嫌いという感情を向けられるのが、どんなものなのか」  海堂くんが穏やかに言う。 「泉沢さんが初めてだったんだよ」  誰からも愛される不思議な少年、海堂至。  まさか、初めて向けられた嫌いという感情に、惚れてしまったとでも言うのだろうか。  好きが嫌いで。  嫌いが好きで。  だとしたらなんて屈折した、恋愛感情だろう。 「わたしの思った通りだ。やっぱおまえ、気持ち悪いよ。いや、ここはこう言うべきか」  舞花ちゃんが苦笑しながら言った。 「わたしはおまえが嫌いだ」 「そう言ってくれる泉沢さんがぼくは好きだよ」  そのセリフに満足したように、海堂くんはにっこりと笑った。  それから海堂くんは「じゃあぼくはこれで」と、わたしたちの前から姿を消した。  またしても、あっさりと。 「なんだったんだ、あれ?」  舞花ちゃんがなかば呆然としながら言う。 「知らないよ。わたしなんて完全に蚊帳の外だったし。外にいるただの蚊って感じだったし」 「どんなたとえだよ、それ」 「っていうか全部バレてたね。舞花ちゃんがわざと好きって言ったのも」 「あいつ、どこまでが演技で、どこまで狙ってやってるんだ……?」 「さあ……。わかるわけないじゃない」 「わたしのこと、ほんとうに好きなのかな……?」 「……」 「…………」  わたしたちは嵐が過ぎ去ったあとの穏やかな空をしばらく黙って見上げた。 「ユウ」やがて舞花ちゃんがぼそりと言う。「おまえ、まだ海堂のこと好きだって思ってる?」 「うーん……」わたしはしばらく考えてから言った。「いや、ちょっと無理かも……」 「だよなあ!」  とつぜん舞花ちゃんが明るくなった。  そしてわたしの肩をガッチリとつかんで、 「じゃあ一緒に海堂嫌い同盟やってこうぜ! これからわたしとおまえは一蓮托生だ!」 「いっ!?」  この子、海堂くんの相手をひとりでするのは辛いと見て、わたしを引きずり込む気だな!?  舞花ちゃんはなおもわたしに迫る。 「なあ、いいだろう、ユウ? わたしたち、親友だもんな」  このときの舞花ちゃんはやたらキラキラしていて、演技しているのか無自覚でやっているのかわからないけれど、完全にイケメンのそれだった。  しかしわたしはとうぜん、次のように答える。 「い、嫌だああああ!」  あんたらふつうじゃない人間の恋愛に一般人を巻き込むな!  お互いに好きと言いあえるふつうの恋愛が、わたしはしたいのだ。
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