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「“我望むは敵を焼く炎、球となりて敵を討て”ファイヤーボール!」
リエルの耳は、バカ正直に全てのスペルを唱えた詠唱を聞き漏らす事はなかった。
事実、この下級の火球魔法の出来は悪く、速度も威力も平均以下ではあるが、直撃すれば大火傷である。
「ふっ、ら!」
ドッ ドッ!
顎に向けて放たれた、二連続のフックはチンピラ貴族の意識を刈り取った。
………
……
「助かったんだけど、あなたは大丈夫なの?」
駆け付けた衛兵にチンピラ貴族を引渡し、同じ学園だった女の子と一緒に登校している。
ちなみにこの助けた女の子は、リエル達と違って歳相応の背丈である。
「うん。鍛えてるから大丈夫だよ」
「いや、そうじゃなくて、アレでも貴族だから心配なのは報復の方よ」
「ああ…、余計なことしちゃった?」
「いや、私じゃなくて、報復はあなたに来るのよ…?貴族って自分のやった事に関わらず、やられたら仕返しに来るのよ。特に相手が自分より格下って思っている相手には」
「にゃー…うん、どうにかなるよ、多分」
「結構 危なっかしいわね、あなた…」
二人は乾いた笑いをお互いに浮かべながら、学園に向かった。
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