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駿はサッカー部員で,スポーツ万能で,そこそこイケメンで背も高い。ただし,あたしに対しては口が悪い。理由は分からないけど。
「うるさいなあ。体育以外の成績がイマイチなアンタには言われたくないよっ!」
……そう。彼は運動神経がいい以外,おツムの程度はあたし以下だ。
でも正直言って,あたしは駿がちょっと(いや,かなり?)羨ましい。セールスポイントっていうか,取り柄がいっぱいあるんだもん。
それに比べて,あたしは……。容姿はそこそこだし,胸も「中学生にしてはまあまあある方なんじゃない?」くらいだし。成績がめちゃめちゃいいわけでもないし,運動神経だって「いい」か「悪い」かって訊かれたら「いい方かな」程度だし。
文才は……,文芸部部長の巽風花先輩には「いいセンス持ってるよ」って言われるけど,自分ではそんなにいいと思ってないし。
要するに,あたしはごくごく平凡な女の子でしかないのだ。好きな人にだって,こうして素直になれなくて,憎まれ口ばっかりたたいてるような。
成績表の用紙をもらってきた駿は,「あー,オレ今回もヒドかったわ」と能天気に頭をポリポリ。成績が悪かったにしては,彼はのほほんとしてる。……まあ,まだ受験生じゃないからかもしれないけど。一年後にこんなだったら,ちょっと心配になるかも。
キーンコーンカーンコーン……。
「はい,今日はここまで。レポートは来週の金曜日までね!」
全員が成績表をもらった時点で,終礼が終わって解散になった。
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