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「ねえ,風花センパイ。あたしの取り柄って,一体何だと思いますか?」
「え?……うーん,文章力,創造のセンス……かなあ。書き手としては,かなり強い武器になると思うよ,私は」
……うん,それは間違ってないし,褒めてもらえたことは嬉しい。けど。
「そうじゃなくて……。あたしの,ひとりの人間としてのセールスポイントっていうか,魅力って何だろうな,って」
「……?」
風花センパイは,あたしの問いに首を傾げてしまった。
「だって,あたしってすんごく美人ってワケでもないし,成績だってそこそこだし。運動神経だって,そんなによくないし。……言ってみたら,平々凡々な人間じゃないですかあ。だから,なんか一つくらい取り柄があった方がいいのかなあ,って」
平凡であることが,あたしの一番深刻な悩みなのだ。それを理解してくれたのか,風花センパイはあたしにこんなことを言った。
「要するに,カナちゃんは『自分を変えたい!』と思ってるワケね?」
「はい,そうなんです。……でも,簡単じゃないですよねー,そんなの」
あたしだって,今まで何度も「変わりたい!」と思って色んな努力もしてきたけど。どれ一つ実を結んだ試しがなかった。
……そして,つい現実離れした発想に辿り着いてしまう。
「あ~あ,いっそのこと,魔法でも使えたら簡単なんだろうなあ……」
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