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「…………」
これには,風花センパイも絶句した。というか,コメントに困っているらしい。
「……う~ん,魔法ねえ……。まあ,書き手としては面白い発想だと思うけど」
「ですよねえ。……あっ,冗談ですからねっ」
あたしは一応,そうごまかしておく。でも,これで結構大真面目に考えていたりするのだ。……言わないけど。言ったら,「アタマ大丈夫?」って言われそうだから。
「おっ?武丸さん,今度はファンタジーに挑戦するのかい?」
こちらも三年生の,結城工センパイが,あたしと風花センパイの会話に割り込んできた。
「ええ……,まあ」
あたしは「身の上相談をしてた」と言う勇気がなくて,曖昧に頷く。風花センパイは,苦笑いしてたけど。
「へえ,女の子が書くファンタジー小説か。楽しみだなあ」
(えぇ…………?)
結城センパイはあたしの返事を真に受けて,読むことがないかもしれない,あたしの書いたファンタジー小説を期待してるみたいだ。
「カナちゃん,こうなったら本気で魔法モノ,書くっきゃないかもねえ♪」
「風花センパイまで!カンベンして下さいよお……」
あたしの悩み相談は,完全にあたしの新作(予定)の話にすり替わってしまった……。
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