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――その日の夜。夕飯を食べたあと,あたしはベランダに出て(ちなみに,ウチは十五階建てマンションの十階にある)月を眺めていた。
今夜は満月。しかも,いつもより月が大きく見える「スーパームーン」の日だった。
こんな夜には,何か起きそう。――そう思うのは,部活中に風花センパイとあんな話をしてたせいかな?
「こんな満月の夜には,ホウキに乗った魔女とか似合いそう。ホントに飛んで来たりして?……まさかねえ」
……いやいや,現実にはそんなことあり得ないでしょ。なんて思ってたら。
「……ん⁉なに,アレ?……まさか⁉」
何かが,こっちに向かって飛んで来る。それは,鳥でも飛行機でも,ヘリコプターでもドローンでもなくて。
人影だ,多分。その姿が近づくにつれて,それは確信に変わった。
間違いない!あれは人だ。ホウキにまたがった……人⁉っていうか魔女⁉
「ウソ……⁉あの魔女,あたしの方に向かって飛んで来てる!」
何だか信じられないけど,それは間違いなかった。でも,なんで⁉
そして,その魔女はあたしが立っている狭いベランダに降り立った。
「武丸カナさんでしょう?初めまして」
あたしに向かってニッコリ笑いかけた彼女は,ウェーブのかかった金髪にグリーンの瞳の,見た目はあたしと同じ歳くらいの美少女だった。
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