Ⅰ・月夜の出逢い

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**** ――その日の夜。夕飯(ゆうはん)を食べたあと,あたしはベランダに出て(ちなみに,ウチは十五階建てマンションの十階にある)月を(なが)めていた。 今夜は満月。しかも,いつもより月が大きく見える「スーパームーン」の日だった。 こんな夜には,何か起きそう。――そう思うのは,部活中に風花センパイとあんな話をしてたせいかな? 「こんな満月の夜には,ホウキに乗った魔女とか似合いそう。ホントに飛んで来たりして?……まさかねえ」 ……いやいや,現実にはそんなことあり()ないでしょ。なんて思ってたら。 「……ん⁉なに,アレ?……まさか⁉」 何かが,こっちに向かって飛んで来る。それは,鳥でも飛行機でも,ヘリコプターでもドローンでもなくて。 人影だ,多分。その姿が近づくにつれて,それは確信に変わった。 間違いない!あれは人だ。ホウキにまたがった……人⁉っていうか魔女⁉ 「ウソ……⁉あの魔女,あたしの方に向かって飛んで来てる!」 何だか信じられないけど,それは間違いなかった。でも,なんで⁉ そして,その魔女はあたしが立っている(せま)いベランダに降り立った。 「武丸カナさんでしょう?初めまして」 あたしに向かってニッコリ笑いかけた彼女は,ウェーブのかかった金髪にグリーンの(ひとみ)の,見た目はあたしと同じ(とし)くらいの美少女だった。
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