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飼い犬に噛まれる
両腕を後ろで組み手錠をはめ、足には重い鉄球のついた足枷をして自由を奪う。その姿を冷たい目をした美しい男が眺めている。
見下すその先、贅肉のない引き締まった身体と端正な顔をもつ男がいる。
彼は戦で敗れた国の騎士であった。さぞかしその頃は町の娘たちを虜にしてきたことだろう。競で相当つぎ込んでしまったが、それけの価値はある男だ。
大抵、捕らえられた騎士は、命を懸けて新たな主を守るために闘犬として躾け直す。元々、忠誠心に厚いだけに躾をすれば立派な闘犬となった。ただ、前の主に対して忠誠心が強い騎士となると厄介で、騎士としてのプライドがズダズダになるまで調教し、誰が主人となっても忠誠心を持ち立ち向う犬を作り上げる。
ただ、うまくやらないと人格を壊し過ぎて狂ってしまうか、ただの人形のようになってしまう。
だがこれだけの上玉だ。闘犬としてではなく、貴族のアクセサリーとして礼儀作法を身につけさえたり、痛みという快楽を覚えさせてそちらの趣味がある、もしくは色を仕込み夜の遊び相手として、という使い方もある。
見栄えの良い騎士は、夜の遊び道具としての需要が多く、調教師であるリキョウがもっとも得意としている躾けの一つであった。
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