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子犬を拾う
リキョウは目鼻立ちのきりっとした美しい顔をしている。調教をしている時の姿は、苦痛に快楽を感じる人にはたまらぬ光景らしく、そのけがある者達をひきよせてしまう。
家に招いてショーを楽しむかのように調教を見たがる者も多く、それが新たな収入源となっていた。
そのかいあって、広大な土地と広い屋敷を手に入れる事ができた。前の店よりも何倍もの広さだ。
外へ出ている時は、馬車で帰るとそれに気が付いてユーエンがエントランスで主人を迎え入れる。それか世話をし、風呂で身体を洗い、共に眠りにつく。
それがいつもの日課で、出迎えのない時など一度もなかっただけに不安な気持ちがよぎる。
何かリキョウが予想にもしないことが起きてしまったのだろうか?
「ユーエン、ユーエン!!」
ユーエンのいそうな場所のドアを片っ端から開けてユーエンの姿を探す。
一番奥の寝室のドアを開けた時、気持ちよさそうに寝息を立てるユーエンの姿と、傍で丸くなる子犬が二匹目に入る。
その瞬間、無事でいることに安堵し、怒りがふつふつとわきあがってきた。
「おい、このバカ犬、起きろ」
そう言ってリキョウがユーエンの腹を蹴とばせば、低いうなり声をあげてユーエンが目を覚ます。
「……主っ、申し訳ございません」
流石に自分の失態に真っ青になり、ベッドから降りて膝をついて深く頭を下げた。
だがリキョウにとってそれはどうでもいい。ただ、一人で寝ていたのではないというところが重要で、どういうことなのか説明が欲しい。
「いいから、話せ」
首輪についた鎖を掴んでひっぱりあげれば、苦しそうな顔をリキョウに向ける。 返答次第では調教をしなおさないといけない。
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