ノワール大公家の図書館

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「…ンヌ!!…アンヌ!!…マリアンヌ!!」 夢中でマーリン先生の蔵書を読み込んでた私を揺り起こし現実に戻したのは、光の精霊と闇の精霊だ。 ハッ!!として視線を精霊達に向けると、叫びながら何度も私を呼んだせいか、プリプリと二人とも怒ってた。 「もうっ!!何度も呼んだのに!!レイラが帰って来たよ!マリアンヌが居ないって、真っ青な顔してる!!僕達じゃあマリアンヌの場所を教えてあげれないじゃん!早く行ってあげて。」 プリプリ怒って、二人は私の周りを忙しなくグルグル回ってるの。それを見てると目が回りそうよ。 「あら?レイラ帰って来たの?早いわね。」 「早くないよ、マリアンヌ、6時間もそれ読んでたよ。」 「そうなの?面白くて読み込んじゃったわ。レイ・ダークありがとう。レイラの所に行かなきゃ。」 図書室は元々薄暗いから、時間の経過が解らなかったわね…。反省しつつ、マーリン先生の蔵書を閉じ、その場に置いとく事にした。だってココの図書室私くらいしか利用しないしね。 素早くちょっと行儀悪いけど、ぴょんと飛び降りて、スカートをたくし上げ走り出す。 図書室から私の私室は近いから、さっさと扉を抜け私室に向かったの。 私室の扉を勢い良く開けて、レイラを視界に入れ走りよって飛びついた。飛びついた瞬間に香るレイラの優しい香りに、私は満面の笑みを浮かべ彼女を見上げたの。 「レイラ!!お帰りなさい。楽しかった?」 真っ青になってたレイラは、飛び付かれた事に驚き目を見開いた後、ホッと息を吐いて安心した顔をした。 心配掛けてごめんね。レイラ。そんな思いを込めて見上げ続けたら、レイラはしゃがんで私をぎゅうと抱きしめた。 「姫さまぁぁぁぁぁ!!!いらっしゃらないからびっくりしましたよ!ただ今帰りました。とっても楽しかったです。お休みありがとうございます。」 「ちょっと離れの探索してたのよ。すっごく広いの。楽しいわ。」 「探索ですか?そういえば、こちらの離れは姫様専用ですものね。何か発見ありました?」 レイラは私を抱き上げ、ソファーにそっと私を下ろした。そのまま流れる様に、ワゴンの上にあるポットに魔力を流しポットを温める。お茶を入れてくれるみたい。そういえば喉乾いてたのよ私。 「うん。ねぇ。知ってる?奥にね、大きな浴場があるのよ。使ってないなんて勿体ないくらい綺麗なの。あれは使用出来ないかしら?」 「確認しときますね。ですが、こちらは姫様専用の屋敷ですから、使用は可能だと思いますよ。」 そっと机に茶器を置いたレイラは、そのまま私の側に立つ。 「レイラも座ってよ。私達しか居ないんだよ?大丈夫だよ?ねっ!!お願い!寂しいじゃない。」 私のお願いに、レイラは困った顔をする、半分根比べに近い形で、私はウルウルお目で見上げ、レイラは眉をヘニョリと下げて私を見つめる。 「レイラァ。だめ??」 コテンと首を傾げ泣きそうな表情を作るの。レイラはコレにめちゃくちゃ弱いんだ。狡いかもしれないけど、今日はレイラにくっついて話たいんだもん。 「姫様、わがままはいけませんよ。」 もうすこしでレイラが折れそうな所で、遮る様に響いた声に、私は内心舌打ちしたの。いや気付いてたのよ。精霊達が狂喜乱舞し始めたからね。ソロリと入り口の扉に視線を向ければ、相変わらず精霊達に囲まれ姿がぼんやりしてる女性が立ってたの。 「リリーアンヌお帰りなさい。どこに行ってたの?」 リリーアンヌは、素晴らしいカーテシーを披露した後、室内に入ってくる。彼女が近づいた事で、やっとその姿がしっかり見れたわ。 「わたくしの実家より使いが皇都にいらしてるので、会って参りました。トリスタンは、そのまま彼らと過ごすようですわ。」 「そういえば、リリーアンヌ達も北部辺境候領出身だったわね。ノワール大公家はそちらとも繋がりが深いのかしら?」 「前ノワール大公家の次男殿があちらにて冒険者ギルド協会長をされてますから、繋がりはありますね。しかし既に大公家は離れられてます。」 「ノワール大公家の方は、爵位に拘りが無い方が、ちょこちょこいるわよね?」 「そうですわね。次男から下の方は、比較的爵位よりご自身の興味に邁進されますわ。」 そうよね…。やっぱりノワール大公家って他の大公家より自由だわ。逞しい方が多いのかもしれないけど。 リリーアンヌ・レイラ・私で楽しく色々話をして休日は過ぎていったわ。
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