森の住人と日常

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「上手くいって良かったわ。」 ホッとした心底安堵した顔をしてアンナさんは笑みを浮かべた。 魔法陣が昇華し、辺りはどこまでも広がる真っ黒な闇に戻ったの。 「何かが変わった気がしないですよ?」 コテンと首を傾げ告げる。 「当たり前よ。マリーアンナの魔力を貴女のモノにしただけだもの。ただ…彼女ともう会う事は二度とないわ。」 そう…か。やっぱり…そうよね。うん解ってる。だって…暖かな手が私の髪を撫でてくれたもの。 「そうですね。なれば…母上の次の生き方が幸多き事をわたくしは祈るわ。」 私の言葉に、アンナさんはほんの少し寂しそうな表情を浮かべたの。穏やかに一言二言話してる間に、私の身体がキラキラと光を纏い、周りの風景がグニャグニャと歪み始め、私の意識は遠のいていく。……慣れたけどさ……なんか合図とか欲しいものだわ。心で呟いて意識はプツリと途切れたの。 あ…ザックどうしたのかしら? たゆたう意識がゆっくり覚醒をしてく……。 瞼を開け視界に入って来たのは、龍の鱗を纏うザックの寝顔。私の小さな身体は、これでもかと抱きしめられている。 横に寝転んだ状態で二人して、銀色の鱗の繭覆われていた。 ……動けん……。 バタバタと手足を動かす事も難しくて…小さな腕をなんとか拘束から外し、ザックの顔にそっと手を添えた。 「起きて…ザック。早く帰って来て。」 ペチペチと優しく叩いていたけど、余りにも起きないから魔力を手に纏い、肉体強化させ、グイっとザックを押しのけ私はその拘束から抜け出したの。 さてと…この繭からどうやって抜けだそうかしらね…。考えながらペタリと銀色の鱗に両手を付けたのよ。 私が繭の中から出る方法を考えてる同時刻。 チートオブチートなリリーは、繭の外から、私が目覚めた事に気付いたらしく、繭を破壊しようと魔力を手に纏い殴りつけ様として、ナスカとアビに羽交い締めにされていた。 「はなせ…。」 低く唸るように恫喝するリリーに、ナスカはヒクリと頬を揺らし、アビは苦笑いをしていた。タイミング悪く、既に、スタンは帰宅してしまったのだ。 「いやいやいや。何考えてんの?姫様が怪我したらどうしてくれんのさ?!」 「姫様はお目覚めよ?大丈夫よ。」 「んな訳ないでしょ!!あんた自分がどんだけ怪力かわかってんの?」 「だからなに?姫様を救出したくない訳?」 「論点がちがぁぁう!!」 ギャアギャアと騒がし三人に、諜報ルームの者達はげんなりし、フルルを呼び出しに人をやる。数分で現れたフルルは、呆れた顔をした後、スタスタと繭に近付くと、そこに手を置き魔力を流し、数秒するとリリーを見つめ笑った。 「大丈夫だって。後五分もしたら、バカ兄貴起きる。だからリリー…怪力でこのルーム壊さないでよ。」 「本当に目を醒ます?」 「当たり前じゃん。姫さまが起きてるんだから。」 「わかった。待つわ。」 「ん。じゃあ私、戻るから。」 そこから、思ったよりも早く、銀色の繭はガラガラと崩れ落ち、その中から、マリアンヌを抱き上げたザックが出てきた。二人ともスッキリした表情をしてる事に、三人はほっと息をつき安心をして笑みを浮かべた。 「お帰りなさい。姫さま。」 「ただいま…みんな。」
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