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バルト山脈の麓
「つうことで…逝って来い。」
早朝早くからギルド協会長室に、用があって来た私に、挨拶もそこそこ、爽やかな笑顔で迎え入れてくれたアレン様の手には、軽量軽薄型魔導通信機が鎮座していた。
爽やかな笑顔で差し出された軽量軽薄型魔導通信機には「バルト山脈の麓について」と表示がされている。
「この魔導機、姫さん専用な〜。セキュリティは保証する。此方からの情報・秘匿事項とか、其処に連絡いくから。ウチに来る時は必ず持って来てくれ。」
…ん?逝って来い!って言いましたかね…アレン様?図太くなりましたよね…。まだ二週間も経ってませんのに…。
差し出された魔導通信機を受け取り、ソファーに腰掛けながら内容に目を通すの。
複数のページに渡り、物騒な案件内容が、事細やかに所載提示されている。眉間に皺が寄っちゃうわ。どうなってんのかしら…警務部は…。
「……コレ……案件的には、警務部か軍部のでしょ?」
一介の商会長が、関わる案件では無いわ?不思議に思い、丁度執務椅子に腰掛けたアレン様を見る。
ニヤリっと黒い・真っ黒な笑みを浮かべたの。
「使えん警務部・軍部より、素早く適切に間違いなく対処をして下さるでしょ?
姫さんなら、身分を隠したまま権威使わんでもさ〜。出来るっしょ??
それに…バルルート地区リゾート開発するんでしょ?チラッと見ておいて損はないぜ。」
オホホホッ。やだわ…この方…利用出来る物は利用してやるって…黒いわ!!真っ黒だわ!!
嫌いじゃないわ!!好きよそう云うの!!
ちょっと引っ掛かる事言われたけど…
「警務部・軍部が使えないってどう云うことなの?」
「あぁーーー。それも体験してくれ。言った所で意味ないでしょ?リリーなんか良く知ってんじゃないか?」
「…わたくしの気のせいで無ければ…我が国の国家勢力は、地方都市では真面に機能してないって事ですか?」
「うーーーうん…。一部には素晴らしい仕事してるぜ〜。辺鄙区は…うん…まぁ…見てこいよ。姫さんの反応が俺はすこぶる楽しみだ!」
なんて爽やかな気持ちいい笑顔!!!
「………。解りました……。わたくしの判断で致しますので…ギルド協会は不関与でよろしくて?」
私の言葉に、アレン様は全身で笑ってる様な笑顔を見せた。楽しそうだなおい!!
「勿論!!!その為に…依頼したのよ??我々が関与しない代わりに厳格な商会の人間を送るって伝えたしねっ!!」
……とっても確信犯ね!私なら「法令」を良く解ってるって!!だから色々でしゃばれって事よね!
「まだひよ子な商会ですけどね…。とりあえず…逝って来ますわ…害虫駆除兼退治に…。」
すくっと立ち上がり扉に向かう。
……護衛の人間増やすか…
ギルド協会から出て、アビに向かって手を振った。
「アビ、悪いんだけど…離島から数名護衛隊の人呼んで来て…出来れば「警務部出身者・軍部出身者の強行派」の人。私は、リリーと一緒にカガリに「戦闘用馬車」を持って来させるわ。」
「畏まりましたぁ!!カイトが今日は一緒に護衛に着いてますから、カイトに話を!!お家に着く頃には、戦闘用馬車が用意されてるかと!」
「そう。解った。じゃあカイトに伝えて。私ちょっと事務所で手続きしてくるわ。依頼の受理をね…。」
「畏まりました!では、私は、カイトに伝えて先行きます!カイトがマリーちゃんに着きますね!」
「よろしくね。」
アビと別れて依頼受付に赴く。さっさと手続きを済ませカイトと一緒にお家に向かったの…カイトの転移で!
「本当に用意してあるのね。」
お家の前には、頑丈作りの黒塗り馬車が…。
そっと手で触れてみる。硬い…鉄?
「これはなんの鉄?」
「ミスリル合金ですよ〜。ダンジョン深層部の硬度が高いヤツです。最上級魔術でも破壊不可能です。」
わぉ…ガチな戦闘用馬車だわ。
これは突っ込まなきゃダメよね…。
「…まさか…馬車引くのワイバーンなの?」
ニッコニコなカガリが頷いた。
うん…楽しそう。
「ハイ!空飛んで行きます!!不可視魔術展開しますから、目視出来ませんよ?」
「却下!」
「エェー。じゃあ…カヴァス。幻獣種の猟犬ですが…巨大化してる。」
ワイバーンを仕舞ったカガリは、4匹の真っ黒な猟犬 を召喚した。…馬並みにデカイ!!
「コイツ足が強いんで!!コレ以外ヤダ!!」
子供かっ!!!しかも幻獣種…ダンジョンで捕まえたんでしょ!!
まぁ…ぱっと見解らんか…。
ワーウルフみたいな??
「…解った。逃がさないでよ!生態系が崩れてしまう。」
カガリは、首が取れそうな程頷き、嬉しそうにカヴァスに抱き着いた。
うん…カガリは…相変わらず動物好き。
「ひめ〜さまぁ〜連れて来ましたぁ!!」
ブンブン手を振って、別荘から走ってきたアビの後ろには屈強な男性が6人…。
うん。。。すっごく強硬派!!!
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