ノワール大公家の図書館

3/14

985人が本棚に入れています
本棚に追加
/643ページ
《僕の趣味全開本を手に取った君は、僕と同じ魔術馬鹿、イヤ、魔術変人だ》 開いた1ページ目、前書きとして書かれていた文章を読み込み、私は目を瞬かせて固まったの。そっと表紙をもう一度見る。 「魔術師マーリンの分かり易い相対魔術理論」 相対魔術理論の蔵書よね?可笑しいわ…始まりからなんか日記みたいよ。 もう一度1ページを開く。と文章が追加されたのよ。凄いわ、自動なのね。 《表紙を見返した君は見る目がある。我々魔術師は、微微たる疑問でも誠実に対処しなきゃならないからね。まず、何故、僕が、相対魔術理論などと面倒くさい物を纏める事にしたのか?をお伝えしようと思う。 基本中の基本。属性には相反作用がある。例えば火と水。水と土。風と雷。など必ず弱点となる属性がある。しかし火の上位属性・炎となれば水を蒸発させれる。 何が言いたいか?属性を突き詰めれば、弱点は克服出来、お互いに最上級高密度まで高めた場合、魔術の優劣は術者の腕によると云う事だ。 僕は、この趣味全開の書の中で、全ての属性を突き詰めた結果を記載してる。 結果、面倒くさい相対魔術理論って形になってしまったんだ。僕としては非常に満足してる。 僕は、光属性を有する魔術師であり、この書を書き上げるにあたり、我が弟子ネムエに、闇属性を有する魔術師に、協力を願い検証を重ねた。 未来ある君が、我々の趣味に共感し、更に精査し魔術・魔法の真髄を極める礎になる事を願っている。》 とりあえず面倒くさかったけど、検証は楽しかったって事なのかしら?とゆうかガルシア様この蔵書を何処で見つけたのかしら?古語読めたのかしら?不思議だわ。 もう1ページ捲る。 《まず始めに、君は魔術と魔法の違いを理解しているだろうか?》 魔術と魔法の違い??何かしら…そういえば、そうね…魔術式・魔法陣って何気なく使ってるけど、違いなんてあるのかしら? 《違いなんてあるのか?と疑問に思う君は、ある意味正解だ。大元は同じである。しかし、それでは、何故、魔術・魔法と別の言い方をするんだろう?と思わないかい?》 そうね、今まで気にした事無かったけど、たしかに疑問だわ。とゆうか、何故、この本とテレパスしてるみたいになってるの?一体どんな構造なのこの蔵書。 《では、君の疑問にお答えしよう。 「魔法」とは、魔の理の事であり、魔の法則性にそのもの。 「魔術」とは、その法則性に術を落とし込んだもの。 を示している。理解出来るだろうか?》 理解出来ないわマーリン先生。結局のところ同じでは無いのかしら?でも、私が使用してるモノは魔法名を付けていても「魔術」を使用してる事だと理解したわ。 《そう。僕達が使用してるものは全て「魔術」なんだ。けして魔法では無い。 「魔法」とは説明出来ない超常現象なんだ。解り易く例えるなら精霊・神族・魔族などが使用する自然の魔素を使用して起こす現象。 「魔術」とは手順を踏み原理がわかってる現象。我々人族が使用する物はこちらに含まれている。 僕達、人族は、自然の鼓動・呼吸・リズムを感じれる訳ではないからね。 水・風の流れそれは現象を見て感じてるに過ぎないんだ。》 なるほど、我々が精霊魔法・神聖魔法と呼んでる事は、そんな意味があったのね。 基礎の基礎から奥深い。マーリン先生は確かに魔術馬鹿、いえ、魔術変人だわ。 そこから私は、時間を忘れて夢中で、魔術変人マーリン先生の基礎知識を読み込んでいったのよ。時折心で突っ込みながらね。
/643ページ

最初のコメントを投稿しよう!

985人が本棚に入れています
本棚に追加