森の住人と日常

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「そもそも聖剣召喚の儀とは、聖剣が住まうフィールドに赴き試練を突破した上で、自身の魂に見合う聖剣と戦闘をし勝ち得たものだけ、その聖剣に認められ所持出来る様になります。ですから魂の清涼さが肝になるんですよ。」 案内役の天使アイリスは、色々説明しながら連れてってくれる。神龍が現れた時は、畏れ多くてぎこちない感じになってしまったらしい。 天使長に、神龍が来てると告げた後、浄化祭壇で合間見えた天使長と神龍の会話を聞き、その存在感になれたんだと言っていた。 「自身の魂に見合う聖剣なので聖剣の機能は個々により違います。また魂の質によりフィールドは違いますから自ずと難易度が高いフィールドの聖剣は能力値は最上級になりますよ。 マリアンヌ様の世界線の方ですと。 つい最近…マリアンヌ様の世界線の時の流れでは約10年前ですね。姉弟の二人組が最上級難易度のフィールドを最速で突破し聖剣を手にしてましたね…。 あの方々のフィールドも相当難しいはずなんですけど……。約5分で二人とも終わらせていましたよ。あの時は、我々の中で衝撃が走りました。フィールド間違えたか??って。 なかなか素晴らしくお強いお二人でした。 因みに、マリアンヌ様とザック様が行かれるフィールドは、神龍に連なる龍族とその番の為のフィールド。 難易度で云うなら、頭一つどころか天井突破の最難関フィールドです。ですので、結構大変ですが頑張って下さいねっ。」 キラキラとした瞳を私達に向けた彼女に、私は曖昧に笑む。姉弟…。なんだろう…すっごく頭に浮かぶ二人の姿があるんだけど……チートオブチート…聖剣持ってるのかしら……。だからチラリとザックを見てみると何やら神龍さんと言い合いしてた。……うん。興味ないだろうな……。 なんだか……アイリスには、素敵な番殿ですよね。いいなぁ。って羨ましがられたんだけど……。一体私が寝てる間にザック何した訳?? 「さぁ着きましたよ!!アシュヴィンの間は、双子神の御在所にございます。地界の者に心を寄せ、神々の医師でもあるのです。この扉の向こうに転移陣がございます。そちらに入って頂きますと、かの方々のお住まいになる地へ強制転移されます。私の案内はここまでです。ご武運を!」 彼女は満面の笑みを浮かべて去っていった。 案内された巨大な扉には、金色に輝く身体を持つ双子が向かえ合わせに描かれている。 「この双子。諸説ありますが、一方は天神の子・もう一方は人の子だと言われてるんです。だから天と人を結ぶ神だとか。我々龍族は、天の使者であると言い伝えられております。ですから此方の方々が試験官なのでしょう。」 私の横に立つザックが珍しく普通に話しをしたからびっくりしてマジマジと見上げてしまったわ。 「確かに使者だな。俺は原始神龍だから神の神族に当たる。俺に連なるモノ達が、その使者としての役割を担う。各次元・世界線一つ一つに一体。だからそれ以外は、個々の世界の理の天界の神々に連なるモノ。無数に居る神々を纏めて上げる大元が俺ら神界の神族。神界の下位層が天界だ。この双子神は神族であり、古より生きる最古の神々。与える試練は個々に異なる。まぁ頑張ってこい!!」 神龍さんに思いっきり背中を叩かれて、一歩踏み出した瞬間に巨大な扉が観音開きで開き、私達はその中に吸い込まれたの。 ーーーーーーーーーーー。 「龍の鱗……。」 ザックの離島に赴きまず諜報部の諜報ルームに寄る事にしたトリスタンの視界には、光を放つ銀色の龍の鱗で出来た巨大な繭が写る。 その繭の周囲に、リリー・フルル・アビ・ナスカが、眉を顰めそれを見つめ。小さなヴィオレット嬢が涙目で龍の鱗に両手をついていた。 トリスタンに気づいたリリーが目視で呼ぶので側によると苦笑いをし自分を迎え入れた。 「この中に龍化しかけたザックと姫様が居る。」 「あぁ。夢魔の領域に行かれたのでは?」 「夢魔の領域。スタンなんで知ってるの?」 「アンヌが仰ってましたよ。」 「アンヌが?」 「えぇ。姫様の魂はボロボロだから浄化しなければならないと。」 「ならザックはなんでこんな状態に?」 「あー。姫様の心臓が止まりませんでした?」 トリスタンの質問にリリーは腕を組むと小さく細く息を吐いた。 「失念してたわ。そうね。番だもの。龍化中に一瞬で飛んだって事か…。」 「えぇ。恐らく。姫様の頸には、ザックの紋章が刻まれてますから、それを目印にしたのでしょう。」 「なるほどね。やっぱ覚醒が早まる気がするわ。」 「どうでしょう??ザック自身が特殊な感じですし…。覚醒前の冬眠期があるかないか解らないんじゃ。」 「それで……スタン何しに来たの?」 チラリと横目に見られトリスタンは満面の笑みを浮かべて答えた。 「事件調査ですよリリー。姫様戻りまで暇でしょ?手伝って下さい。なかなか興味深い事件です。」 「ベルーペナン港の件?」 「えぇ。ほんとうに興味深い事件です。」 笑みを更に深めたトリスタンに対し、リリーは胡乱げに見やってから、手を徐に差し出した。 「概要くらい持って来てんでしょ?渡しなさい。」 そのセリフに、トリスタンはすかさず調査表を渡し、リリーが読み込んでる間に、巨大な繭に近寄っていった。
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