悲しみと優しさと純粋

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そんな二人のもとへジュリアが近寄ってきました  彼女に聴こえていた楽しい音楽が急に激しいものに変わり急に止まったからです 「ラジリーナお姉ちゃんとエヴァお姉ちゃん?2人ともこんな所でどうしたの?」  不思議そうなジュリアの頭を撫でながら、無表情なエヴァが答えます 「2人で少し話をしただけよ、気にしないで」  それを嬉しそうに受け入れながらジュリアは微笑みます そしてラジリーナにせがむように言いました 「ラジリーナお姉ちゃん、楽しいお歌聴かせてよ~」  それを見たラジリーナは、苦虫を噛み潰したような顔して立ち去ってしまいました  ジュリアは悲しそうな顔をしてラジリーナを見送ります 「私、ラジリーナお姉ちゃんに嫌われているのかな?私が近づくといつもラジリーナお姉ちゃんいなくなっちゃう......」  今にもジュリアは泣きそうです  エヴァはそんなジュリアの横にしゃがみこむとおもむろに抱きしめて言いました 「大丈夫よ、ラジリーナはあなたを嫌ってなんかいない」  ジュリアは聞き返します 「本当に?」  エヴァが無表情で答えます 「ええ、ラジリーナは単純だから嫌いな相手の近くにいるのに楽しげな音楽なんか流さないでしょう?」 ジュリアは明るい笑顔で嬉しそうにいいました 「そっかー、嫌われてないんだー」  エヴァは立ち上がって言いました 「じゃあ私はあなたを悲しませたラジリーナをちょっと叱ってくるわね」  エヴァがそう言うとジュリアは嬉しそうに言いました 「エヴァンナお姉ちゃんはいつも無表情だから分からなかったけど本当はすごい優しいんだね」  そんな言葉を受けてエヴァは恥ずかしそうに頭をひとなでして、だけどいつもの無表情で立ち去っていくのです
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