そこにずっといる

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 今日は休みだったのだけど、パート先の欠員を埋めるために出勤になってしまって、帰宅途中でも気が気でなかった。  間の悪いことに娘が夏風邪を引いて、うんうん寝込んでいたからだ。  ずっと昔に自分もそんなことがあったような。  娘はあの時の私よりもっと幼いので心配だ。  ただの風邪と言われればそうなのだが。 「ただいまー。一人でお留守番させちゃってごめんね、なるべく早く帰してはもらったんだけど」 「ううん、だいじょうぶ」  娘はニコニコとかわいい顔にかわいい笑顔で良い返事をくれた。わーお昔の私より大人。  って思ったけどそうじゃなかったようだ。 「ひとりじゃなかったの。おかっぱのひんやりしたおねえさんがね、ずっとおふとんのなかでおててにぎっててくれたの」  夏風邪を引いたことはうっすら覚えていても、すっかり存在を忘れていた心当たりにたどり着いた瞬間。  おそらく怪しいの──座敷わらしらしき足音が、ガタガタッ! とわざとらしく背後から聞こえて、やがて遠ざかって行った。
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