そこにずっといる

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 起きたらまた一人ぼっちだった。布団から起き上がったけど何かする気にもなれなくてボーっとしていると、玄関のドアがガチャガチャ言う音が聞こえてくる。 「ただいまー。ゴメンね一人にしちゃって。お土産にゼリー買って来たけど食べられる?」  お母さんが部屋に入って来て私の額に手をあてて、それから驚いてた。 「あら、もう熱下がってるわねえ。顔色も悪くないし。これならお夕飯のすき焼き食べられるわね」 「……まだそんなに食欲ないよ」 「じゃあお粥作ったげるから副菜にちょっとお肉食べなさいお肉。お肉食べないと元気が出ないわよ」  お肉は副菜じゃなくて主菜だと思ったけど、布団の中に残ったヒンヤリした体温の名残が気持ちよくて、そんなことはどうでもよくなった。
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