姫君の機嫌

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姫君の機嫌

私立彩牙学園高等部、35期皇帝の晶は昨日念願かなって姫君を手に入れた。 勢いで行ってしまったが、海斗が昨日okしてくれたのは本当に嬉しかった。 会長室に行くまでは……。 なのに、海斗ときたら、俺に色々指図してきて、不機嫌この上ない。 しかも、反撃したら、あっさり返り討ちに合う始末。 悩みに悩んで朝寝過ごすと母親がとんでもない事を言いだした。 「晶、姫さんがお迎えに来ているわよ」 その言葉に晶は驚いた顔をする。 『今なんて……』 そう思うとバサッと布団の中に潜ると 『なんで直接家に来るんだよ、可笑しいだろう』 そう心の声を大にして叫ぶと扉が開く音がする。 「母さん、ノックぐらい」 そう言えば 「してないで、悪かったな」 その言葉に晶の身が固くなる。 「なんでここにお前が」 「元、ご近所だから、住所知ってて当然だろう? 越していれば別だけど」 そう言われて目の前が真っ白になる。 「そもそもからして、何でお前が」 そう言えば 「忘れたの? 俺お前の姫君だろうが、ふがいない、晶皇帝は朝が弱いと有名だからな、起こしに来た」 そういう言葉が聞きたいんじゃないと言いたくなったのをぐっと飲み込めば 近づく足音がする。 「あのさ、早く起きたら?」 その問いかけに晶がぐっと掛け布団を握り直し 「今日は休む」 そう言えば海斗の溜息が聞こえた。 「何、行く気ないんじゃん、なら仕方ないか」 そう言いながら立ち去る足音がしたので晶は涙を流した。 「何なんだよ、本当に、」 そう言った瞬間扉が乱暴にしまったので戸惑い起き上がれば腕を組みこちらを睨みつけている 海斗と目が合った。 「な、帰ったんじゃ」 思わずつぶやけば海斗が無言で近づくと 壁にかかった時計を見て 「俺表で車待たせてるから、3分余裕あるんだよな? また、お灸添えてやろうか?」 そのイライラした口調に短い悲鳴が晶の口から洩れれば 「せっかく、迎えに来てやったのに、朝から行きたくないだの、ガキみたいな事ほざくし、機嫌悪くなったから責任取れよ」 そう言うと晶が逃げるより早く動くと晶の溝内に思いっきり蹴りつけてきた。 痛みに蹲れば海斗がしゃがみ昌の顎をとると 「言ったよな? 昨日、あまり生意気な事はするなと」 そう問われて晶が何とか頷けば 「お灸添えてやるから服脱いで」 その言葉に相葉嫌がり後ずされば 「悪いのは誰? 姫は正当な権利が主張できる対等の立場であって、相手の所有物じゃないはずだけど?」 その問いかけに晶は 「分かってる、だからそんなに怒るなよ、怒らせたんなら謝るから」 そう言えば少し優しく海斗は微笑んだ。 いい子いい子と晶の頭を海斗があやす様に撫でると 「ご褒美くれてやるよ」 そう言うとちゅっと唇に触れるか触れないかだけのキスをした。 晶が顔を赤めると 「可愛いとこあるじゃん、ほら、行くぞ」 そう言って昌の手をとると扉を開けて歩き始めた。
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