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素直な君に恋をした
イケメンを前にしたら少し頬を赤くするけど顔の良し悪しで決める女子たちの様に媚びた上目遣いで見ようとはしない。
仲良しの友達と一緒に居るところを見かけるけど、どちらかというと一人で頬杖をつきながら様々な本に目を据えている方が多い。
いつも朝早く来て、部活の朝練を汗を光らせながら真剣にしている。
夕方の部活も遅くまで残って、片付けも肩を揺らしながら額の汗を何度も拭いながらやっている。
後輩にいつも優しく笑っていて下の年齢からはかなり評判がよく、先輩にも変わらない、でも上を立てるような控えめな笑顔で接している。
制服も着崩したりせず、暑いときにボタンを崩すぐらいで、だけど朝練で教室に入るのがギリギリになった時は目のやり場に困るぐらい服が乱れてたりしていて。
すでに将来の目標を見据えている彼女は、1人の時は殆ど勉強。
昼休みも、時々友達と一緒に食べてるけど、お握り片手に両耳イヤホンで勉強したり読書らしきものをしているのが殆ど。
成績は上位じゃないけど、中よりの上。
顔も、スタイルも、中よりの上。
化粧が当たり前の時代だし校則でも禁止されてないのに、化粧を絶対にしないその彼女は。
真面目、だけどどこか抜けていて。
可愛くない仕草が多いのに、ふと見た時の仕草がとても綺麗で。
特徴がないのに、探したら特徴だらけの変な彼女。
高2の夏。
そんな彼女が、屋上へと続く扉よりは下の階段上の踊り場で、窓から差す柔らかい日光に当てられながら壁にもたれてこっそり泣いているのを見た俺は。
「……お前、可愛いよな」
ありふれた生徒として馴染んでいるようで、けれど異彩を放っているように見え異様に目を惹かれてしまうそんな彼女を好きになっていた。
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