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最強の男
そこにはブロンズランクの男がいた。
ブロンズランクの男はだれにも負けない比類なき力を手に入れていた。
だがその男はその力を使おうとはしなかった。
今はただ誰もいない家で一人で過ごしている。
毎日毎日ずっと窓を眺めているだけ、その瞳には青い青い青空が広がっているだけだった。
「いつまでそうしているつもりだ?」
そう声をかけたのは唯一彼が今知っている人だった。
「俺の家に勝手に入るな」
そう言って男は後ろを振りかえる
「そう冷たいこと言うなよ、俺とお前の中だろ?」
振り返った先にいたのはこの世界で人類最強と言われている男、ウートだった。
「人類最強の男がこんなところにいていいのか?早く一人でも多く命を助けたらどうだ?」
「いや人類最強は君だよ僕はみんなにそう言われてるだけ。そんなことより君だよ、そろそろ一緒に旅する気になったかい?君がいると心強いんだよね、シイ」
シイのことを最強と知っているのはウートだけだった。
「俺はもういい疲れた。」
「そうかいまたくるよ」
通算で365回目の誘いを断られたウートは潔く帰っていくのだった。
ウートとシイは長い付き合いになる。しいにとってはウート以外の知り合いなどいない、それぐらいまでの親密な関係だからこそ、シイが何故こうなっているのか知っている。
「いつかまたお前と旅に出たいものだな、昔の仲間とはもう会えないけどな,,,」
そう呟いてウートは今日も帰り道をおぼつかない足取りで帰っていくのであった。
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