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だが、いざ、拾おうとすると、なかなか仔猫は現れなかった。
何故だっ。
探していないときは、あんなに遭遇するのにっ!
と遥久は苦悩する。
ようやく、見つけたこの状況を打開する方法が消えそうになり、焦った遥久は、結局、ペットショップに行った。
愛らしく、立派な毛並みの猫を見ながら、それを洸に手渡す自分を妄想する。
「拾ったんだ」
いや、無理がある……。
腕を組み、真剣な表情で猫たちを眺めていると、他の猫は何故か警戒して近づいてこなかったが、ガラス張りの小部屋で遊んでいる仔猫だけがこちらを見ていた。
ふわふわの白と淡いベージュの毛の猫だ。
まだ赤ちゃんのようで、小さな毛玉に見える。
やけに足が短く、よちよち歩くその仔猫は、くるりとした黒い瞳でこちらを見上げ、なー……と鳴いた。
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