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そんな洸と俺が付き合うとか。
そんな夢のような未来が簡単に訪れたりするわけないだろうっ、と思いながら、
「いや、別に付き合ってはいない」
と付け足した。
沈黙があった。
いや、冷静になった今、考えてみれば。
勝手に相手を好きになっただけで、相手が自分のことをどう思っているかもわからないのに、別れてくれってどういうこと?
と彼女は思っていたのだとわかるが。
このときは、まったくそのような考えには思い至らなかった。
自分が頑張って、身綺麗になって、洸に好きだと言う。
そのことしか頭になかったからだ。
まあ、葉山に言わせれば、
「課長は、今でも全然冷静じゃないですよ」
と言うところだろうが。
『……わかった』
と言われ、通話を切られた。
その感じから、たぶん、もう電話はかかってはこないだろう、と思われた。
何故だかわからないが、なにか呆れていたようだから。
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