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いい匂いがしてきたなー、と洸は葉山に悲鳴を上げられ、やってきたチャトランをかまいながら思っていた。
しかし、チャトランはまた、葉山のところに行きそうだった。
猫は、何故か、自分を苦手とする人間のところに行きたがる。
反応が面白いのか、少々、S気味なのか。
可哀想だから、やめてあげて、と思いながら、チャトランがあちらに行かないよう、買い物してきたビニール袋をカサカサ言わせて、チャトランの気を引いていた。
「ほら、机の上、片付けろ」
と言いながら、遥久たちが料理を運んできた。
その中にまだ、グツグツ言っている海老のアヒージョがあるのを見て、ふと、前に葉山が来たときのことを思い出していた。
「そういえば、葉山。
なんで、リニューアル前のイグレシアのパンフレット持ってたの?」
「ああ。
式場行ったとき、なんとなくもらってたから。
ほら、松浦の結婚式のとき」
と言われ、
「ああ、葉山も居たね」
とようやく思い出す。
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