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「夕方には帰るから。
ちょうど洸の好きな店のディナー券をもらってる。
二人で行ってこい」
「わあ、おにーちゃん、ありがとう」
と子どもの頃のままに喜ぶ洸が、今にも章浩に抱きつきそうで、ハラハラしていたのだが。
はたから見ている人間には、自分は無表情に見えていたことだろう。
昔はただ、感情が動かず、こういう顔をしていたのだが。
最近は、洸に対して過剰な反応をしないよう、無表情を装っていることが多い。
こちらを向いた章浩に、
「じゃあ、よろしく頼む」
と頭を下げられ、……社内なので、
「はい」
とおとなしく頭を下げ返した。
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