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やっぱり、爺ちゃんは、自分でユウコ姉ちゃんの心象を見ろっていうんだね・・・。
「兄ちゃん、チャーシュー、たべよ・・・」
耀子がチャーシューの入った皿をオレに持ってきた。
「ああ、そっちへ行く」
オレは居間の隅から立ちあがって、耀子からチャーシューの皿を受け取り、座卓へ移動した。
居間は広い。十二畳ある。そこに座卓が二つ縦長に並べてあり、まわりに皆が座ってる。オレはユウコ姉ちゃんの横に座り、チューシューを食べながらお茶を飲んだ。
「ユウコ姉ちゃん。さっき、オレが青井養豚場の市場が他のブタ肉に代わられることないと考えてたら、『ほんとうにそうだろうか』っていったんだよ。
あれって、どういうことを話したの?」
「うーん、やっぱり、さっちゃんにはわかっちゃったね。
何かを思ってると、この辺に何かが浮ぶの」
ユウコ姉ちゃんはヘソの下のお腹を押さえている。
丹田だ。ユウコ姉ちゃんは心で物を思ってる。ユウコ姉ちゃんは、自分の丹田に他の心が集って映像になってるのが見えるんだ・・・。
「そうなの。今も、さっちゃんの思ってることがわかるよ」
「それで、『ほんとうにそうだろうか』っていうのは何?」
オレはチャーシューをつまんで口へ入れた。
幸と奈都と佳子と耀子の四人の目がオレとユウコ姉ちゃんに向けられているのに、この時気づいた。四人とも食べるのも飲むのもやめて、オレとユウコ姉ちゃんの話を聞いている。
「何かか起こりそうな気がするの。このブタ肉が消えて、あのとんとんラーメンのブタ肉が出まわるような・・・」
ユウコ姉ちゃんはそういって口を閉ざした。
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