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わかりました。祈ります。
『心をこめて祈りなさい。さすれば、フツシさんにわかってもらえますよ』
ミズハさんは笑顔でオレの心から消えた。フツシは須佐之男神さんの生前の名だ。オレの先祖で中沢の開祖が建御名方刃美神さんで、その建御名方刃美神さんの祖父が須佐之男神さんだ。
祓殿には神殿の方向に設けられた祭壇がある。オレは祭壇にむかって端座し、山田隆司たちのことを思って須佐之男神さんに祈った。
『これからは、事を成すとき、事前に相談するのだぞ』
優しい言い方だが、あやまちは二度と許さないとする断固とした心が、オレの心に現れた。
わかりました。必ず相談するよ・・・。オレは決意を示した。
オレの心の世界に、須佐之男神さんが、古代の短甲、冑、頸鎧、肩鎧、籠手、草摺、臑当をまとって剣をかざした姿となって現れた。あっというまにオレの心は須佐之男神さんに同調し、オレは須佐之男神になっていた。
『山田隆司。誰の配下だ?』
須佐之男神のオレは、山田隆司を問いただした。
『破端霊のオロチだ。俺たちをオロチの組織から抜けさせてくれ』
『抜けたら、なにをする』
『うまいラーメンを食いたいから、ラーメン店を守りたい』
『その心に偽りはないな』
『俺たちは、ブタ肉を奪えば、ラーメン界を独占できるといわれてオロチの組織に入った。
だが、オロチのラーメンより、うまいラーメンがあるのを知った。うまいブタ肉があるのを知った。事実を知ったからここには留まれない。
うまいラーメンを食いたいから、多くのラーメン店を守りたい』
『よかろう。その言葉忘れるな。忘れたときは、お前たちを消滅する。それでよいか?』
『そうしてくれ!』
『さすれば、無上霊宝神道加持!無上霊宝神道加持!無上霊宝神道加持!』
九字とともに、オレは魔除けの剣・十握の剣で山田隆司たちをまとめて三度両断した。
黒い影のようだった山田隆司たちのスーツ姿が、一瞬に真新しいスーツの姿に変った。顔色もよく、どこかで見たような雰囲気を漂わせている。
『身体が軽くなった。なんでもできそうな気がする。我々を指導してくれ』
『よかろう。私について参れ』
同調していた須佐之男神の心がオレの心から分離して、父ちゃんの知人の弁護士、須賀布津士に変身した。
こういうのは変だ。須佐之男神さんは須賀布津士弁護士の心と同調し、山田隆司たちを引き連れてその場から消えた。
これにて一件落着と思ってホットしたら、祓殿にスーツ姿が一人残っていた。
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